短編夢
□振り回して、振り回されて
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どうしようもないくらい、星空が見たくなる日がある
今日がまさにそんな日で
雪が舞う中外に飛び出した
そして気づく…
雪が降るのに綺麗な星が見えるわけない、と
でも気づくのが遅かったらしい
何にも考えず飛び出した私が上着なんて着ているはずもなく…
『どうしよ、すっごく寒い…』
屋上庭園まで来ていた私が寮に帰るには、寒い廊下を通って、また外に出て…
どう考えてもすぐには暖かくならない
ましてや、足が動かないのだ…寒すぎて
そしてまた思い出す
私、極度の寒がりでした
「こんな雪の中上着も着ない、傘も差さない…貴女は馬鹿ですか?!」
あったかい、温もり
私の好きな匂い
来てくれたんだ…
『はや、と!』
「極度の寒がりの貴女が夜中に外に出るところを、僕が目撃していたからいいものの…どうするつもりだったんですか!!だいたい貴女はいつもいつもいつも…」
『ごめんなさい…』
「ほら、僕のですけど着てください…それから、マフラーと手袋も」
『でも、颯斗が…』
「僕は走って来たので、暑いんです」
『ありがと…颯斗お母さんみたい。東月くんよりずっとお母さん』
「嬉しくないですね」
『ん、知ってる』
「ほら、帰りますよ…」
手をひかれて歩く
安心する、すごく
でも、同時にドキドキするのは…
『颯斗のこと、好きだから…自慢の彼氏だから』
「!貴女はいつも…唐突すぎです」
振り回して、振り回されて
(そんなところも好きなんですけど)(貴女は本当にずるい人ですね)
颯斗は寒さのせいか
私のせいか
頬少し赤く染めて
ふんわり笑った
End
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