dear夢1
□『貴方との思い出』
2ページ/2ページ
***
紅、キャロルの叫び声はプリノの仕事部屋にまでもちろん聞こえていた。
「まったく・・・あの二人は進歩しませんね。」
ふぅ、と溜め息を吐きながらプリノは苦笑をもらす。
そしてプリノが、二人の叫び声で止めてしまった仕事を再開しようとした時だった。
『煩いぞ、さっさと出て行け!!』
部屋の外がなにやら騒がしい。無視しようかとも思ったが、どうやら軍人の男と言い合っているのは女の子らしい。
流石に止めたほうが良いと判断したプリノは部屋の外へと出て行った。
「騒がしいですね、どうかされたのですか?」
そこにいたのはプリノと同年代ぐらいの女の子だった。
プリノが話しかけると二人とも、プリノの方に振り返った。
「将軍!実はコイツがですね!!」
「私は昴に合わせてくれと頼んだだけです。」
「昴・・・さんですか?もしかして、陛下のことでしょうか?」
「陛下・・・?う〜ん、多分ね!」
少女はプリノの傍によって来て、笑顔でそう告げた。
あまりに綺麗に笑った少女にプリノは見惚れてしまう。
「あっ。えっと、どのようなご用件でしょうか?」
すぐに我に帰って、プリノは聞き返す。だが、少女の声を軍人の男が遮った。
「将軍!このようなものの話を聞かなくとも!!」
「失礼ですよ!えっと話を・・・。あら?」
プリノが軍人の男を注意している間に少女は消えていた。
「いませんね・・・?」
長い廊下を端から端まで見渡しても、少女の姿はどこにもなかった。
そんなにすぐに消えれられるはずはないのに・・・、とプリノは首を傾げていた。