dear夢1
□連載序章
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―――きっと、貴方の願いを叶えてみせます。
「クレイスさん・・・。」
長い漆黒の髪をたなびかせる彼女は小高い丘の街が見渡せる場所にいた。
彼女の前にあるのは1つのお墓。
「貴方が亡くなり、今日で一年です。」
そっと、眼をつむり手を合わせる。
その墓に眠っているのは彼女にとって、とても大切な人。
「きっと、届けます。きっと・・・叶えます。」
「いえ。」
「叶えてみせます。」
彼女はそういって微笑んだ。
「だから、見守っていてください。」
彼女は歩き始めた。
墓前に供えられた花が風によって舞い上がった。
それでも彼女は振り返らず、前を見据えて歩いていく。
―――ただ、大切な人の願いを叶えることだけを思って。