短編2

□『たまにはこういうのもいいかと思いまして』
1ページ/1ページ

2008年12月18日の日記から再掲載。後書きも当日のままです。
竜崎と松田のクリスマス小話+彼女。
***

「竜崎、竜崎」

くたくたのスーツを着た、見た目もくたくたの男は、まるで恋人を呼ぶようにその名を呼んだ。
無論、恋人じゃないのだからそんな嬉しそうに楽しそうに、名前を呼ばれてもちっとも喜ばしくない。第一どうせまたくだらないことだろう。付き合うのも疎ましいのでパソコンに向かう体勢はそのままに、最短の返事を返す。

「はい」
「今日が何の日か知ってます?」
「さぁ」
「さぁって竜崎。クリスマスですよ」
「先に言っておきますが、休暇ならあげませんよ。家庭のある夜神さんや相沢さんならともかく、独身の、ましてや彼女もいない、仕事も出来ない、冴えない男にクリスマスもバレンタインもないでしょう」
「ち…ちょっと、竜崎に冴えないとか言われたくないです。し、仕事はともかくですけど」

負けず嫌いな性格は、どうやらこんな時も発揮されるらしい。竜崎は回転椅子をくるりと回し、蛙のような目をめいっぱい開いて振り返る。好みによってはチャーミングなこの瞳も松田の前ではチャーミングでも何でもない。

「私は彼女いますし、世界一の頭脳を持った冴えてる男です。一緒にしないで下さい」
「そう、です、けど…」

蛇に睨まれた蛙、もとい、蛙に睨まれた蛙。松田は情けないほどに弱かった。

「わかったなら仕事して下さい」

くるりと椅子を回転させ、竜崎は再び背中を向けた。
松田はまだ何か言いたそうにしていたが、竜崎に新たに課題を課せられ、それどころではなくなってしまった。


94時間ぶりの睡眠ののち竜崎は目を覚ます。
座った体勢のまま、グッっと伸びをすると丸くなった背骨が鳴った。あまりベットで眠る習慣のない彼が最後にベットで眠ったのはいつだったかと考えていると、見覚えのないものがデスクに置いてあることに気が付いた。
赤と緑のクリスマスカラーでラッピングされたそれに添えられたカードには、書いた人を連想させるような、くたくたな文字。『竜崎へ』と書かれた二つ折りのカードを手に取り開く。

「あー!竜崎、おはようございます」

その時、シャワーを浴びてきたのか髪をわしわしと拭きながら松田が戻ってきた。くたくただったシャツやネクタイも着替えたのか幾分マシになっているが、竜崎にとってはどうでもいいのでスルーする。

「松田さん、何ですかこれ」
「何ってクリスマスプレゼントですよぉ」
「残念ですがちっとも笑えません」

竜崎は持っていたカードを開いて見せた。カードには『メリークリスマツダ☆なんちて』と恥ずかしげもない文字で書かれている。

「ええ!こんなに最高傑作なのに…竜崎は笑いのセンスがないっスよ」
「松田さんのセンスなんか死んでも欲しくありませんけどね」
「ひ、酷い」
「ですが、松田さんにしては上出来だと思いますよ、これ」

プレゼントのリボンをくるくると弄ぶ竜崎の口元が笑みをつくる。
後日、竜崎より与えられたお正月休みが松田だけ1日多かったとか、そうじゃなかったとか。

「竜崎って意外に優しいですよね〜」
「本当に馬鹿ですね。松田さんがいない方が捜査がはかどるんですよ」
「やっぱり酷い」


***
ツンデレ竜崎。
何だかんだ言っても彼は優しいんです´`原作でこんなやりとりがあればいいと云う妄想。
タイトル(確かに恋だった)さまより
→追記より『竜崎と彼女の小話』
***


クリスマスケーキを片手に部屋のドアをノックする。そろそろと開けられたドアの向こうに立っているのはパジャマ姿の私の彼女。

「こんばんは」
「あ、竜崎、なんで?クリスマスは、会えないって…」

私が来たことに余程びっくりしたのか上手く喋れていない。

「たまにはこういうのもいいかと思いまして。それとも、会いたくなかったですか?」
「だって、お化粧してない」

貴女のそういう少しずれた所。私のツボです。

「どっちの貴女も好きですよ」
「それに可愛らしさは変わりません」と付け加えると彼女は恥ずかしそうに笑う。
「松田さんから貰ったんです。一緒にクリスマスしましょう」
「うん!さ、入って寒いでしょ」
「あ、それからお願いしたいことがあるんですが…」
「なに?」
「女体盛りさせて下さい」
「やっぱり帰れ」

***
何だかんだで竜崎は変態なんですね、結局(誰のせい?)
女体盛りの詳細話はまたクリスマスにでも(嘘)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ