あったかポカポカ
□まーちゃんの手
1ページ/1ページ
ぼくは、生まれてまだ1ヶ月も経たない頃、まーちゃんちにもらわれた。
まーちゃんは一人っ娘で、他に姉妹がいなかったから、ぼくが選ばれたんだって。
ぼくもまーちゃんも赤ちゃんで、最初はぼくの方が強かったんだよ。
でも、まーちゃんが二つ足で立ったくらいから
ぼくよりも断然、強くなったんだ。
どんな時だって一緒。
時には幼稚園にだって行ったんだ。
最初はみんなに怖がられたけど、すぐ仲良しになった。
ある日、まーちゃんが泣いてた。
おばーちゃんが死んじゃったって、ぼくの頭をぎゅーって抱きしめて
『大好きだったんだ、優しかったんだ』って
まーちゃんは転んだりケガしたりしても、絶対泣かなかったけど
その時は、おっきな涙が流れてた。
ぼくはその涙が、毛むくじゃらに染み込んでくるのをゆっくり感じた。