イチオリ1

□いつか、叶う、願い後編〜君が想い出になる前に…
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「…ハァ…ハァ…井上!…好きだ!」



俺の想いの叫びも列車の音に遮られ井上には届かず…井上は俺から離れていった



あれから2年



俺は地元の医大に進学し毎日研修や試験に忙しく時を過ごしている

井上事をはじめの内はずっと心残りに思っていたが研修の忙がしさや時間の流れは無情にも俺の思いを少しずつ想い出に変えていっている


そんななかある企画が大学内で着々と準備されていた

いつか、叶う、願い
後編

君が想い出になる前に…





「学校交流?」


「そうだ。まぁ簡単にいうと交流コンパだがな」

今の季節は初夏

俺の憂鬱な梅雨が開けたばかりにゼミで研修のおさらいをしていたら先輩に話しかけられて今にいたる

「で…それがなにか?」


「あぁそこで黒崎に頼みがあってな…」


「参加しろってのはパスでお願いします」


「あぁ!拒否すんの早すぎだって!なぁ頼むよ〜むこうの学校の女子達にお前を連れてきてくれって頼まれててさぁ」

「だったら尚更ですよ…めんどくさい」


「そんないかたしなくても…」


この先輩にはとてもよくしてもらっている


研修の助言してくれたりなにか困ったことがあったときにはかならず助けてくれる人だ。だが若干感じが啓吾に似ているためいつもそっけない態度をとってしまう。本当は多少でも恩返ししたいのだが…


「はぁ…石田はお前がこなきゃ自分もいかないって言うし…ウチの二代モテ男を連れてかなかったら俺の命が…」


「石田!?アイツそんなこと言ったんですか!」

俺の食い付きの異常な程の違いに先輩はビックリした顔をしている

「あ…あぁお前がこなきゃ行かないってな」

あのメガネ…どういうつもりだ


「分かりました」


「へっ?」


「その学校交流ってのに参加させてもらいます」


俺の言葉にびっくりしたのか「えぇぇ!」といいながら顔をいろんな表情に変えていた


あのメガネ達とはあの井上との別れの後に一悶着あって…


ガッ

「ぐっぅ…石田テメェ何しやがる!」


「君が余りにも井上さんにたいして無頓着過ぎるからね…殴らずにはいられなかっただけだ」
まだひとが沢山いる駅のホームでいきなり殴られ…分けも分からず石田を見つめていたら横から


ガッ!

「くっぁ!…痛っ…たつき」


横には涙を流しながら俺を殴ったたつきが立っていた

「あんたは…悪くない…なんにも悪いことなんてしてないよ…でも!…でも殴らないと気がすまないんだよ…織姫の気持ちを分からなかったアンタを…なんで最後の最後まであのコを苦しめるんだよ…なんで…なんで朽木さんと一緒に来たんだよこのバカ!」

たつきは涙を流しながら走り去っていった


「なんでルキアの名前が…そういえばルキアは…」


「朽木さんならきみがホームの隅でうなだれている時には家に用事があるからと帰っていったよ。」

何気に薄情なヤツだなと思っていると俺の考え付かないことを石田が話した


「君は気付いてなんていなかったろうが君と朽木さんが付き合っているって学校中の噂あったんだ」


「…は?俺とルキアが?おまっ!あり得ねぇだろそんなの!なんでそんなことに」

「なんで?そんなこと自分の胸に手を当てて考えたらどうだい?……………分からないなら教えてやる君がいつもいつも朽木さんと一緒に行動していたからだ」


「それは死神業が…」

「違うね君達は何をするにも一緒にいたよ。昼休みや放課後の帰り道授業の間の休み時間までね…それがどれだけ井上さんを苦しめていたか…君には分からないだろうね…それなのに井上さんは君を…君をずっと好きでい続けたんだ!報われないとわかっていながら…ずっと苦しみながら…どんなに辛くたってどんなに寂しくたって………」

石田は言葉が途中で止まり、変わりに涙が止まることを知らずに流れていた


涙を拭い冷静を装いながら…俺に何かを投げ掛けるかの用に言葉を発した



「そんな君が井上さんを好きだ?ふざけるな!何を今更言ってるんだ!!…何を…いまさら…」

その時の石田の表情は今でも忘れられないくらい怒りを露ににして…泣いていた

そのとき石田の井上への想いを何と無くだがわかり複雑な気持ちになる


そのあとは二人とも無言で目も会わさずに帰っていった
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