イチオリ1
□いつか、叶う、願い
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卒業式が終わったばかりの昼下がり、みんなが別れをおしんでいるとき私は黒崎君に一世一代の大勝負…告白をした
「…わりぃ…俺井上のことそういうふうに見てなかったから…だから…わりぃ…」
「…そっか…こっちこそゴメンね卒業するめでたい日に変なこといって」
「そんなことねぇよ…言われて嬉しかったしさ」
「優しいね黒崎君は…それじゃ私用事があるからもう帰るね…黒崎君…さよなら」
「?あぁ…じゃあまたな井上」
私は黒崎君に別れを告げていそいそと裏門から学校を出た。しばらくして誰もいなくなったのを確認して私は走り出した。ゆっくり歩いていられるほど冷静ではいられなかった、私の三年間の恋が終わったのだから…
走りながら泣いた
泣きながら走って、走って、走って…
気付いたら浦原商店の前に来ていた
「ひっく…あれ…なんで私こんなところまで…」
「おや?井上かどうしたそんな泣き顔をして」
声がするほうをみると塀の上でひなたぼっこをしている猫の姿の夜一さんがこちらを見ていた
「…よる…いち…さん…うぅ…うぅ…うわぁ〜!」
「よせ井上!く…苦しい…!」
私は夜一さんを無理矢理抱き締めて泣いていた
いつか、叶う、願い
「落ち着いたか井上」
「はい…夜一さんのダブル顔ひっかきのおかげで…」
夜一さんを強く抱き締めていたら顔を綺麗にクロスするようにひっかかれた
今は浦原商店の居間でお茶をご馳走になって夜一さんにさっきまでのことを聞いてもらっているところである
「そうか…まさか一護が井上をフるとは…信じられんな」
「フラれて当たり前ですよ…私なんか…いつも黒崎君達に頼って…いつも迷惑かけて…それなのに…好きになって欲しいなんて…図々しいにも程があったんですよ」
私は夜一さんの顔をみないで言った。顔をみることが出来なかった…みたらまた泣いてしまいそうで…
「そう自分を下げずむな井上。それに一護はそういうお主の世話を焼くのが好きな奴だから気にもしとらんだろ、むしろ一護が井上をフる理由が思い付かんのだ。はたから見ているとどうみても一護は井上に気があるようにしかみえんのだがな」
なんて魅力的で爆弾的な発言が夜一さんのかわいい猫の口から放たれた
「そ、そ、そんなこと絶対に無いですよ!…だって黒崎君は朽木さんのことが…好きだから」
「…井上ひとつ聞くが…それは一護から言われのか?」
「えっ?そうじゃないけどでも…あの二人は…特別…だから」
言いながら少し涙が溢れでてしまった
「…そうか、まぁ気を落とすな井上。男何て沢山いるんだ、あんなオレンジ頭の糞餓鬼一人につまづいてなんかいちゃいかんお前ぐらい器量がいいなら男などいくらでもよって来るさ」
笑いながら、でも私を慰めるように夜一さんは言った
「…そう…ですよね、次に気持ちを切り替えなきゃ…ですよね」
「なんならわしが紹介しようか?貴族なら沢山知り合いがいるからな。」
「べ、別にいいです!自分で見つけます…から…あ!もう時間だ帰らなきゃ!」
「何かあるのか井上」
「このあと私引っ越すんです受かった大学の近くに…」
「な…そうか、もう立ち止まる時間も残ってないか…引っ越し先には何で行くんだ?」
「一応電車ですけど…おっともういかなくちゃ…夜一さんお元気で…」
「井上お前もな…また悩んだりしたらくるといい」
「ありがとう夜一さんそれじゃまた」
そういって私は家に向かった