「王様だーれだ!」

ほろ酔い加減の麗がそれは楽しそうに声を上げた。

半ば無理矢理に合コンという名の飲み会に付き合わされた末に、誰かがネタで言い出した王様ゲームにまで参加するハメになった。

つまんねー。

「じゃあ、2番と3番がグラスに残ってるのを一気。」

あ。このこ2番なんだ。

王様になった人が2と言った途端に目の前に座る女の眉がぴくりと動く。

さっきからずっとそう。

それが面白くて、さっきから王様ゲームも適当に目の前の女ばかりを見ていた。

結構可愛いんだけどなぁなんて鼻の下を伸ばしていた俺の腕を、テンション高めな麗が掴む。

「流鬼3番じゃん。ほら、一気〜♪」

麗に言われて気付く。

俺、3番だったんだ。

一気っても俺リンゴジュースだけど。

あー。かわいそう。

2番のあのこなんてまだグラスに7割がた酒残ってんじゃん。

そりゃ、眉が
ぴくってすんのがさっきまでより激しかった訳だ。

結局リンゴジュースのグラスを持たされてホストよろしくなコールをされて一気に飲み干した。

あのこも仕方なく飲まされてしまって、つらそーかわいそー。

「王様だーれだ!」

握らされた割り箸には赤い印。

「あ。俺だ。」

王様ってコトは俺が命令をする番。

なににしよう。

そうだな…。

これって王様と何番が…って出来るんだよな。

さっき誰かが言った気がするし。

「じゃあ王様と、1番が…」

あれ、違う。

「じゃなくて、2…3……やっぱ、4…番が…」

お、ビンゴ!

「…今すぐ帰る!」

命令を言い切ったとたんに目を瞬き、顔を赤くする目の前の女。

マジ?まさかそれもビンゴ!?

「王様の命令は絶対!だろ?」

口々に文句を言われる中、彼女の手を取り店を出た。

歩き出せば素直に着いてくる女。


あの、流鬼さん…。」

「ん?」

「どこ、行くんですか?」

「俺ん家。それとも帰る?」

「えっと…」

「王様ゲームはもうおしまい。」

「………」

「俺ん家来る?」

「……はい。」

こうしてキミと出逢ったってお前は覚えてる?


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