NL部屋
□ノエルルージュ
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買い物の途中、ふと目にはいった見慣れた文字に、ルークはその場に立ち止まった。
そこは路頭で店を出している小さな花屋。
少しくすんだ赤色の花を咲かせているそれは、決して目立つ存在ではないが、何故かルークの心をつかんだ。
「“ノエルルージュ”?」
「それは、チョコレートコスモスですよ。最近出来た新種のコスモスで、今の時期に綺麗な花をたくさん咲かすの。」
その一角でじっとそれに見入っていたせいか、店員の女性が説明しに来てくれる。
「へぇ…。そうなんだ」
正直、花の種類なんてよく分からない。
けれど、目に入った名前が仲間のものと同じだったから、つい。
「プレゼント用ですか?日当たりの良い場所に置いて頂ければ毎日、綺麗な花を咲かせますよ。」
「え、いや…そんな…」
ただ見ていただけだった。
なんとなくあの子に似てるな、って思って。
(喜んで、くれるかな?)
「…じゃあ、それ、一つ。」
「ありがとうございます!コスモスの花言葉はね、“真心”頑張ってね♪」
「///」
なんとも心の中を見透かしてくるお節介な店員に軽くお礼を言って、ルークは帰り道を急いだ。
end.