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□せつなくて
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レムの塔での障気中和。
あれから、短期間の間に色んな事がありすぎて、頭がおかしくなりそうだ。

あの後、俺は生きてて、世界から障気は消えた。

ジェイドに言われるままベルケンドで検査を受けて。
いや、そんな事しなくてもほんとは薄々気付いてた。

俺はもうすぐこの世からいなくなるんだ、って事。


そう告げたら、どんな顔するだろう。
貴方だけにはちゃんと伝えたくて。




「ルーク、付き合うか?」

「どこに…ですか?」

本当にこの人は、人の話を聞いてるのか、と少し不安になる。
こんなに俺が真剣に話しているのに、なんでこんなにマイペースでいられるんだろう。


「んー、そういう意味じゃなくてだなぁ、…まぁ、いいか。散歩がてら外へ出てみるか?」

「いえ、今日はここにいたいです」


今日俺は例の如く、陛下の部屋にお邪魔してブウサギと戯れている。

突然やってきたのに陛下は嫌な顔一つせず、俺の為にわざわざ時間を取ってくれた。
やらなきゃいけない事は全て終わらせた、と言って一緒にいてくれる。

ブウサギ達もみんな俺の顔を覚えてくれたのか、俺が行けば懐いてくれる様になった。


ただ一匹、ブウサギ“ルーク”を除いて。


アイツだけは俺が側に寄ってもすぐ逃げるし、声をかけてやっても振り向きさえしない。
そのくせ、陛下には甘えた様にじゃれついたりして。

…なんかムカつく。

「なんだ?ルーク。ハハハ、可愛いヤツめ」

それ、紛らわしいんで止めて下さい。


楽しそうに目の前でじゃれあってる陛下とそのペットに、無言の視線で抗議してみる。

なんか悔しい。
動物相手に、我ながら馬鹿だと思うけど。




「好きだぞ。ルーク」

「なっ…!」

ああ‥。
一体何を言い出すのかと思ったら。
なんだ、ブウサギの事か。
ドキドキして損した。


「恋人として、付き合わないか?って意味だ」

へっ?


さっきの話の続きだ、なんて急に、ブウサギ撫でながら言われても。



決して正常には動いていない頭で考えてみても、陛下のその言葉はそういう意味にしか聞こえなくて。

期待しちまっていいのかな。
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