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□なにげない
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そして、今度は陛下と2人でブウサギの捜索活動が始まった。
陛下はと言えば大切なブウサギがいなくなったにも関わらず全く焦っていない様子で、むしろなんだか楽しそうにさえ見える。

「おーい。可愛い方のジェイド!早く出てこいよ〜」

ゲルダにサフィール、それからネフリーは見つかったとさっきジェイド達から連絡があった。

アスランは俺と陛下が見つけて、残るは1匹“ジェイド”だけだ。

ていうか、『可愛い方のジェイド』って…
何度聞いてもそれには変な違和感がある。


「どうして陛下は知り合いの名前をブウサギにつけたんですか?」

言ってすぐまた突拍子もない事聞いちまった、と後悔する。
でも、気になるもんは気になるんだからしょうがない。

「ただの知り合いじゃないさ。俺にとってはな。」

「じゃあ、どういう…」
関係なのか。
嫌いな訳ではないと思う。
そんな意味のない事をする人じゃないから。

なんとなく分かるけど聞いておきたい。

陛下が可愛がってるその中には俺の名前も含まれている。


それが何を意味するのか知りたくて。

「特別、って事だ」

陛下が言ったそのなにげない一言が俺にはとてつもなく嬉しくて。

これって認められてるって事でいいのかな。

「なんだ?そんなに嬉しいのか?ルーク」

そんなあからさまに顔に出てただろうか。

陛下が何か含んだ笑みでこっちに近付いてくるので、思わず身構えてしまう。


息がかかりそうなくらいの距離に陛下がいて、さりげない仕草で髪を撫でられる。



嫌な訳じゃない。

むしろどっちかっていうと嬉しいんだけど、やっぱ恥ずかしいんだよっ。こんな近いと!


だいたいなんで俺達、こんな恋人同士みたいな事してんだろ。

「…俺は、ブウサギじゃないですよ」

「分かってるさ、そんな事は」

顔なんてとてもじゃないけど上げられなくて、やっとの思いで出した声は緊張で掠れ気味。

陛下の体温がやけにリアルで抱き寄せられていた腕にぐっ、と力を込められる。

「ルーク。…俺はな」
「あ!」

突然大声を出した俺に陛下はぎょっと目を向いて、それから俺が指差す方を振り返った。

この体勢の俺だからこそ気付いた。


「ジェイドっ!!」

一体いつから見られてたんだろう。

こっちの様子が気になるのか、何を言うでもなくただ黙ってじっと観察されている。

気配なんてまるでなかったし、名前からしてやっぱりただ者じゃない。


「“可愛い方の”な。見つかったのは嬉しいが、何もこんな時になぁ…。こういう所はアイツそっくりだ」
「えっ?」

はぁ、と溜め息をつくと陛下は密着していた身体を離し、最後の1匹『ジェイド』を捕獲しに行った。


陛下の腕から開放された俺はただぼーっとその様子を眺めてた。

なんか安心した様な、ちょっと残念な様な、不思議な気分だった。


* * *


その後、ブウサギ捜索のお礼として、陛下にスパのチケットを貰った。

それから、溜まりに溜まった仕事があるらしく戻ってしまったけど、去り際に陛下は何か悪戯を思いついた様な顔で俺の耳元へ




『続きはまた今度な』


赤くなった俺に、後でみんなにからかわれたのは言うまでもない。



end
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