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□ささいなことで
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晴れ渡る青い大空。白い雲。
そして、俺は机に向かって今日も政務。

‥つまらん。


机の上に山積みにされた書類に目も通さずただひたすらサインしていくだけの退屈な作業。
もうかれこれ3時間はこれを続けている。

いくら愛しい国民の為とはいえ、流石にこれは飽きてくる。


普段なら美しいと感じる窓の外からの水の流れる音や、澄み渡った蒼空すら憎らしくなってきやがった。
するとその頃合を見計らったかの様に、扉の向こう側から控え目なノック音が聞こえてきた。

‥ようやくおでましか。

「開いているぞ。入れ。」

するとノックの時と同じ様に控え目にゆっくりと扉が開き遠慮がちに入ってきた人物。

「失礼します。陛下、‥あの、俺に用って一体‥?」

俺がこの職務室へ呼び寄せたその人とは。

「よう、ルーク。よく来たな。そんなトコに突っ立ってないでこっち来い。」

ドアの前で戸惑いがちにこっちの様子を伺う少年に俺は声をかけた。

「あ‥ハイ‥。えっと、じゃあ‥」

ぎこちなく返事をしながらキョロキョロと部屋の中を見渡すルーク。


俺が座っている机のすぐ隣にあるソファーに座る様告げればそれに浅く腰掛けた。

「‥そう固くなるな。今茶を淹れさせるから。まぁ、ゆっくりしていってくれ。」

俺がそう言ってやれば少しは緊張がほぐれたのか、ほんの少し柔らかい表現に変わった。

しかし、この部屋に入ってきた時からルークの顔にはっきりと浮かんでいる『疑問』はまだ解けていないらしく、怪訝そうな目をしてこっちを睨んでくる。

真面目に仕事をしているフリをしてペンを持つ手を適当に紙へと滑らしながら、チラリとルークの方を見やった。
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