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□同化するように
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「違う!」と口を開けば、その隙間を縫って舌が入り込んでくる。
言おうとすればする程、相手のそれによって呼吸まで奪い取られ、まともな音になってくれない。

しばらくそんな事を続けていると、いい加減息が苦しくなってきて相手の肩を押した。
ルークが目を開けばピオニーは目を開けていたのか、青の瞳と視線が交わった。

「………目」
「ん?」

赤く染まった顔を見られるのが恥ずかしくて、わざと合わせないようにするルークに、今度はピオニーの両手に優しく頬を包まれた。
多少強引な動作で顔の向きを変えられ、また視線がかち合う。
その瞳に少し暗い色が浮かんでいた事をルークは感じ取った。


「どうした?言ってみろよ」
「……っ」

至近距離で囁くように先を促された。

「……俺が言ったら、陛下も…教えてくれますか…?」

さっき考え込んでいた理由が知りたくて言えば、頬を包んでいた手が離れて頭を撫でられた。
その感触が心地良くてルークは目を閉じて、しばらくその手を堪能した。
そして、静かに口を開く。

「………空みたいだな、って……思ったんです」

「俺の瞳の色か?」

ああ、と納得した様にピオニーが呟く。
ルークはらピオニーの顔にかかった前髪を指でそっと掬った。

「はい。まるで、見ていたら吸い込まれていきそうな空の色。…でも、いつもは…すごく綺麗なんですけど、今日のはちょっと違うかなって…」

それを聞いていたピオニーは苦笑交じりに「そうか」と呟いた。

いつの間にかルークの背に回っていた腕にぐっと力を込められる。

力強い腕に抱き締められ相手の匂いと鼓動が直接身体に伝わってくる。
ルークは相手にもしっかり伝わっているだろう自分のドキドキと鳴る心臓に妙に恥かしくなって、赤い顔をその胸へと埋めた。



「…夢を、見た…」

いつもより低い少し掠れた声でピオニーは呟いた。
側にいるルークにしか聞こえない様な音量で。

思わず顔を上げて「え?」と聞き返すルークにピオニーはそのままの体勢で続けた。

「お前が俺の前から消えて、いなくなってしまう夢だ…」

まるで悪夢だった。
長い執務疲れのせいなのか。
もしかしたらルークが言う通り本当に体調が悪いのかもしれない。
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