宝物

□知ってるよ
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知ってるよ


「キール。
ねえ、キール聞こえてる?」

ファラの声が聞こえた。
今良いところなんだ後にしてくれ。

「キール、リッド知らない?」
…セレスティアとインフェリアの衝突回避のやはり出来ないのか。
いや、諦めるな。
絶対に方法はあるはずだ。

「キールってば!
リッド知らないっかて聞いてるでしょ!」
「そこにいるだろ!」
「いないから言ってるの!」

僕は急に立ち上がったせいか立ち眩みがした。
居たはずの場所を見れば確かにいなかった。

「…どこに行ったか知ってる?」
「ガキじゃないんだ。
そのうち帰ってくるさ」

リッドは出ていくときに何か言っていた気がする。
なんだったかな。
計算に夢中で生返事した自分を恨みたくなる。

「キールもどこに行くの?」
「散歩だよ」
「ついでにリッドも探してきてね!リッドのズボン繕うから」
「考えておくよ」

ファラの言葉にも適当に返事して僕は宿を出た。
今僕たちは王都インフェリアにいる。
第三の試練を終えたリッドの提案でガレノスを送り届けた後にインフェリアに戻って来た。
バンエルティア号を停めても大丈夫そうなのはここしかないから仕方なく来た。
たとえ、メイドにいい思い出がなくとも…。

「リッドの奴どこにいったんだ」

王都周辺に魔物はいないとしても寝るには危険だろう。
が、リッドのことだ王都内にはいないだろう。

「リッドがいるならバンエルティア号か…」

わざわざインフェリア港にまで行ったな。
僕はなけなしの体力で歩き始めた。


「疲れる…」

幸い敵は足音に気付き逃げ出すので余計な体力を使わずに済んだ。
バンエルティア号の屋上に上がればリッドが日陰で昼寝をしていた。

「何してるんだ」
「…昼寝。どっかの誰かさんは勉強で忙しそうだったからな。わざわざコッチまで来たんだよ」

リッドは寝ていた体を起こして僕を見た。

「お心遣いどうも」
リッドの隣に腰を下ろした。

「息抜きにこっちまで来たのによ…」

こいつは…。


「そんなことわざわざしなくていい」「けどよ…」
リッドが少し悲しそうな顔をした。
怒ってるわけじゃないんだが。
「僕はリッドが隣にいるだけで息抜き出来てる」

したり顔で言ってやればリッドは顔を赤くさせた。

「こっちは心配して言ってやってんのに」

一変して膨れっ面になると毎晩遅くまでやってるし、気がつくと飯食わねえしと、文句をつらつらと言い出した。

お前が気にするから僕が気兼ねなく出来るって気がつかないんだな。
まあ、これを知ってるのは僕だけでいいか。

「次から気を付ける。さて、僕は暇じゃないんだ。ファラからリッドを連れてくるように頼まれた」
「…へいへい」
「けど…その、なんだ…折角いい天気なんだ。…デートでもするか」

さらっと言うつもりが改めて声に出していうと恥ずかしさが増した。

「キール、顔真っ赤だぜ」
「お前こそ」

格好がつかない
なんて情けないんだ。

「よしっ。じゃあ行こうぜ」
リッドの顔は未だに赤みを帯びていたが行く気にはなったようだ。
リッドの気が変わらないうちに行かないと、
とは思うが声に出して言わない。
拗ねるのが分かる。

「ん、にやけたりしてどうしたんだ?」
「何でもない」
「ゼッテー失礼なこと考えてただろ!」

リッドの声を背中に聞きながらは先に歩き始めた。

「さあ、どうかな」

知ってるよ

(お前が考えてることは
お見通し)

*
彩様リクエストありがとうございます!
大変お待たせしました。
キール×リッドでほのぼのです。
ほのぼのになったでしょうか…惚けてるだけになった気がします。
キールがリッドを好き好き過ぎるという話になりました…。
リッドもキールが大好きなんですけどね。
二人だけになると歯止めが利かなくなるといいな〜なんて思って書いてました。
ちまちま書いてたので文章が変でしたらすみません…。
確認はしましたが何かありましたら言ってください。
書き直しはいつでも言ってください。
彩様のみお持ち帰り出来ます





くらむ様より頂きました。
リクエストでキルリでほのぼのということだったのですが甘さもプラスされていて、とてももだもだしました…(赤面)
自分じゃどうしても甘いのって書けないから、やっぱり人様のキルリはいいなあ〜と噛み締めております(笑)
お互いに何も言わず気遣いあっている所がイイなと思いました^^
ありがとうございました!

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