宝物

□木漏れ日のありか
1ページ/1ページ

好きCPが驚く程被っている哉谷さん(笑)から絵頂いて余りの素敵さにたぎりすぎたので、私が文書かかせてもらいました。温めですがゼロロイで裏です。
それでも良ければ下へどぞー↓








――綺麗だ。
木々の合間からふいに差し込んできた光が眩しくて、ロイドは目を細め空を見上げた。木の葉が陽の光を受けキラキラと輝いている。普段は日光が届きにくい森の中にある、その空間は鬱蒼とした木々を抜け拓けた場所にある。

「みんな、今日の野営場所はここにしましょう」

先頭を歩いていたロイドは隊列の後ろから聞こえてきたリフィルの声に足を止めた。

「先生?だけど日が暮れるまではまだ余裕があるぜ?」

日がある内に進める所まで進んだ方がいいんじゃないか、とロイドは振り返り尋ねる。次いで他のメンバーも周りに集まってくる。

「完全に日が暮れてしまってから野営場所を探すのは困難でしょう?この辺りなら安全そうだし、近くに川もあるから、野営場所としては最適な環境だと思うのだけれど」

急がなければならない事はまず間違いない今回の旅。選択肢一つで世界の命運を分ける責任重大な立場にいるロイド達。常に危険と隣り合わせにある旅は、肉体的にも精神的にもメンバーをじわじわと圧迫していた。口には出さないが皆疲れている。ここ最近は戦闘続きでまともな休息さえ取れていないから尚更だ。だからこそ今は休める時にしっかり休んでおく事必要だとリフィルは考えたのだ。
リフィルの提案に全員一致で合意し、今夜はこの地にキャンプを張る事になった。

「――さて、と。じゃあロイド。早速だけれど川で飲み水を汲んできてくれるかしら?」
「ああ、分かった。じゃあ、行ってくるよ」

荷物を下ろし軽装になったロイドはすぐに立ち上がり、川の方へと歩いていった。メンバーに各々役割が分担されていく中、ゼロスは一人離れていくその背中を視線で追った。

「今日の食事当番はコレットだったよね。じゃあボクが火をおこすから、ゼロスはその辺で薪でも拾ってきてよ」
「…あー、俺さまパス」

ヒラヒラと面倒臭そうに手を振り、そのままどこかへ歩いていってしまうゼロス。

「ちょっと、ゼロス!どこへいくのさ!?」

後ろからジーニアスの半分呆れたような怒鳴り声が飛んできたが、「夕飯が出来る頃には戻ってくるさ」と適当に流した。




――ばしゃばしゃ、と飛沫が飛ぶ。川のほとりに身を屈めて冷たい水で顔を洗うロイド。そばに置いてある、容器には綺麗な川の水で満たされていた。
「ふう、」とさっぱりした顔を上げたロイドは、水面に映る自分の姿とその背後に迫ったもう一つの人影に気付く。全く気配が無かった。思わず声を上げそうになって、――止めた。

「ハニ〜」
「…何だよ。やっぱりお前ついてきたのか」

額の水を袖で拭いながら振り返るロイド。その後ろにいたのはニコニコとまるで悪戯が成功した子供のように楽しそうに笑うゼロスの姿。いつの間にこんな顔もできるようになったのだろうか。
出会って間もない頃のゼロスは、よく笑ってはいたがその瞳に今のような暖かさは一つも灯ってはいなかった。まるで、そうする事が義務だと言わんばかりの冷たい笑顔。だが一緒に旅を続けるうちにゼロスの中に、そしてロイド自身にも微妙な変化が起こり始めた。おそらくお互いに無意識だったのだろうが。
「ほらよ」とゼロスはズボンのポケットの中からハンカチを出してロイドに渡す。「サンキュ」と受け取ったそれに顔を埋めるロイド。ハンカチからはゼロスがいつも使っているコロンの香りがした。ふいにきゅん、と胸が締め付けられる。

「“やっぱり”って事は、ロイドくん…俺さまが来るコト期待してたんだー?」
「な、何言ってんだよ…っ」
「ん〜、やっぱそう?照れるな照れるなってー」

からかうような口調についいつもの調子で反論してしまう。
『待っていた』とまではいかなくても、『来るかもしれない』という予感は確かにロイドの中にあったのに。

「せっかく二人っきりになれたってのに…つれないねぇ〜ハニーちゃんは」

ゼロスもロイドの気持ちを分かっているから、照れ隠しにわざとおどけたような口調で誤魔化す。

「ハニー“ちゃん”は止めろ!」

ずい、と突き出すようにハンカチを返しムキになって怒るロイド。

「…ロイド」

おどけていたかと思えば急に真面目な顔つきに変わる。ロイドは思わずたじろいだ。こういう表情をする時のゼロスに、彼はたまに遭遇する。

「な、んだよ…?」

目を合わせてはいけない。本能がそう告げている。ロイドはそれに従い、ゼロスと目を合わせないように視線を彷徨わせた。

「こっち見な。…ロイド」

顔を覗き込むようにして声をかけてくるゼロス。ロイドはぎゅっと目を閉じて頑なにそれを拒む。
間近に迫ってくる顔に「もう駄目だ」と観念しようとした時、ふいに身体が浮きロイドは思わず目を開いてしまう。咄嗟に落ちないようにゼロスの肩を掴む。

「…っ」

堅い木の幹に背中を押しつけられて、両手で出口を塞がれる。もう逃げようという気は起こらなかった。目を開いてしまった時点で、ロイドの負けだ。
頬に手が添えられ、視線がかち合う。仕留めた獲物に今まさに食いつかんとしている肉食動物のような、ギラギラとした目だ。「怖い」と思うのに今度はそこから目を離す事ができない。その怖さは恐怖からではなく、どこか別の場所から来ている気がした。
噛み付くように口付けられる。頬に当てられたゼロスの手の熱さと重ねられた唇の冷たさの差に、ふるりと身体が震えた。ゼロスの肩を掴む手に力が籠る。

「ゼロスっ…、ちょっと…!」
「ん?」
「…誰かに見られたりしたらどーするんだよ…っ」
「そん時はそん時だろ?」

さして気にも留めていない様子でゼロスが言う。その間にもロイドの後ろに回ったゼロスの手が、背中から腰にかけて緩やかな移動を繰り返される。その動きはロイドの官能を引き出そうとする類いのもので。

「…っばかやろう…」

最後まで悪あがきをしていたロイドの僅かに残っていた理性が、ついに観念したようにゼロスの首に腕を回す。それを合図に唇が重ねられた。

服の間から入ってきたゼロスの掌が肌の上を滑る。お互いの上着はすでに脱ぎ捨てられ、足下に無秩序に転がされていた。

「っ、…う…」

ゼロスの指先が胸元の飾りを掠める度に、はっと思い出したように息を詰め声を殺そうとするロイド。
キャンプから水場までは少し距離があるので直に声が届いたりはしないだろうが、ロイドは気掛かりな部分があってなかなか行為に集中できない。
ゼロスはともかくとして水を汲みに行った筈のロイドが戻らないとなれば、心配した誰かが探しに来るかもしれない。ゼロスとロイドが『そういう』関係である事は仲間内でも公認済みだ。とはいえ、こんな場所で事に及んでいるなどと知られたら、当分その誰かの顔をまともに見れないだろう。

「……、はぁ…っ」

かぷり、と耳を噛まれて思考に耽っていた意識を現実へと戻された。そのまま吐息を吹き込まれる。するりと腰を撫でられてあらぬビクリと身体が跳ねた。

「ハニー考え事ー?余裕?」
「っ…な訳ないだろ…!お前こそ…」

顔の横に置かれた手が木から離れ、口許へと移動する。指先が唇の輪郭をなぞり、人差し指が口内に含まれる。「舐めろ」というように。ロイドはしばしの間逡巡した後、赤い舌でそれを舐め始めた。唇の隙間から覗く舌が震えている。他にどうしたらいいか分からないといったようにゼロスの指をしゃぶるロイドに、ゼロスは言い知れぬ感動を覚えた。乾いた上唇を舐め口の端を吊り上げる。

「…俺が余裕あるように見える?」
「う、ぁ…っ!」

答えを聞く前にぐっ、と押しつけられた膝がゼロスによって高められたロイドの熱を圧迫する。突然の下肢への刺激にロイドはたまらず声を上げた。そのまま膝を動かしロイド自身を擦る。口内に含まされる指が二本に増えた。

「ほら、ちゃんと舐めて」

二本の指で口内を掻き回されちゅぷ、と水音が漏れた。飲み切れなかった唾液が口の端から伝う。上と下を同時に犯されてロイドは苦しげに喘いだ。
唾液でべたべたになるくらいまで舐めさせてからゼロスは口内から指を引き抜いた。

「――は…っ」

生理的な涙で濡れた瞳を向けられてゼロスはふっ、と笑顔を見せその目元にキスを落とす。そのまま顔中に口付けながら、ロイドのズボンに手をかけた。手慣れた仕草でズボンを取り除き、下着すらも剥ぎ取ってしまう。露わになったロイドの分身は散々焦らしたせいか、今にも熱を吐き出してしまいそうに張り詰め先端からは先走りの蜜を零していた。

「っ……!」

羞恥に赤く染まった顔をペロリと舐め、ロイド唾液が絡み付いた指先を後ろに押し当てる。

「力抜いてろよ」

一声かけてゼロスは一本己の指をその中に埋めた。ロイドの反応を伺いながら二本、三本と指を増やしていく。実際ゼロスにも余裕は全くなかった。

「お前が、そんな顔してるから…っぁ、…んん」
「…ん?」

息も絶え絶えに言葉を紡ぐロイドに、ゼロスもそれが何を意味しているのか分からなくて聞き返す。

「はにー…?」
「早、く…っ」

それ以上は聞き取れなかったが、それが何を示唆しているのか十分に伝わってきて。早く一つになりたいという気持ちは同じで。感情に突き動かされてしまいそうな気持ちを抑えてゼロスはロイドを抱き締める。

「いいのか?…久しぶりだから痛いかも知んねぇぞ」
「ゼロス…っいいから…来いよ…!」
「……!」

そこから先はもう会話にならなかった。
震える腰を引き寄せて深く貫く。何度も何度もキスを交わして強く抱き締め合う。胸中に秘めた全ての想いをぶつけるように熱く激しく求め合った。








「………あー、疲れた」

事後、身動きが取れずにぐったりとゼロスに身を預けるロイド。その間にもゼロスは片手でその身体を支えたまま、もう一つの手でロイドの乱れた服を手際良く着せ直していく。ゼロスの胸元に顔を埋めたロイドが「はあ、」と短く息を吐く。

「ロイドくん歩ける?」

身なりを整え終えたロイドの身体を支えてゼロスは立ち上がる。

「歩けねえ」

返事をするのも億劫そうにポツリと呟くロイドにゼロスは無理させ過ぎたかと自嘲にも似た笑みを零す。

「じゃあ抱っことおんぶどっちがいいのかな?お姫様」
「………おんぶ」

『お姫様』という言葉に引っ掛かりは感じるが、歩けないのは事実だったので素直にゼロスに身を任せる事にする。乗りやすいようにとゼロスが身を屈めると、すぐに背中に体温が移ってきた。
すり、と擦り寄るように肩口に顔を寄せられて、ゼロスの胸はドキリと脈打った。こんなに素直に甘えてくるロイドは珍しい。自然と熱が溜まっていく顔にゼロスは今が“おんぶ”である事に心底ほっとした。

「着いたら…お前が先生に謝れよ」
「…はいはい、りょーかい」

背中から聞こえてくる眠そうなロイドの声に相槌を打ちながら、ゼロスは一体この状況をどうやって切り抜けようかと、仲間達への言い訳を考えていた。


end.


* *

かなやさんとのコラボでした!かなやさんの絵を最大限に活かせる文をと思ったんですが、なかなか…難しいですね。勉強不足でした。でもゼロロイ初エロ楽しかったです。
ここまで見てくれた方、そしてかなやさんありがとうございました!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ