KxR
□距離
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「、好きだ!」
「…はぁ?」
何を今更。
んなこたぁ、前から知ってる。
「…好き、なんだ……リッドっ」
言葉の通りの熱烈な視線を受けて、正直どう対応したらいいのか分からない。
「何言ってんだよ?なんか変だぞ、今日のお前」
「変なもんか!ずっと、伝えたかったけど、いつも機会を逃していただけだ。ぼくは…リッドと、その…」
言い辛そうに何度も視線を彷徨わせながら、言葉を探すキール。
普段クソ真面目なその顔は、今は真っ赤に染まっている。
「…キスしてもいいか?」
唐突にキールの口から出たその言葉にオレは固まった。
「はぁ!?」
なんでいきなりそうなるんだよ。
いや、別に嫌って訳じゃねーんだけど。
いちいち聞かれると変に身構えちまうっつーか。
「したけりゃすればいいだろーがよ。いつもみてーに。」
あんまりにも真剣な面に押されてこっちまで緊張してきた。
なるべく顔を見ないで素っ気なく答える。
「それなら、リッドから…してくれないか?」
なんだコイツ。
いつにも増して訳分かんねぇ。
何か裏があるんじゃねぇかとおそるおそる近付いみるけれど、どうやら本当にオレとキスがしたいだけみたいだ。
…変なヤツ。
キールの顔の中心に自分のそれをそっと触れさせてみる。
何度か啄む様にして、唇を軽く舐めてから離すと目の前には硬直しているキールの姿。
「今のは…、お前からの返事だと受け取ってもいいんだな?」
「キライだったらこんな事するかよ…」
くそ、調子狂う。
何なんだよ一体。
「リッド。じゃあ、もう一つだけ。…ぼく達の関係って、何なんだ?」
「ナニ、って…?」
意味が分からなくて聞き返せば、キールはさっきまでの威勢の良さはどこへやら、困った様に眉を寄せて。
「…不安なんだ。ぼく達…キスしたり、抱き合ったりするけど、ぼく達の関係はその……こ、恋人なのか?」
それを聞いて、今までのコイツの意味不明な言動にようやく合点がいった。
「恋人、ねぇ…」
今までそんな風に考えた事もなかった。
コイツはオレにとって、幼馴染みでファラと3人で良く一緒に遊んだ友人でもあって。
昔からどんくさくて泣き虫のキール・ツァイベル。
けど、何年かぶりに再会して、一緒に旅をする様になって、あの頃のオレらとは違うんだな、って思う様になって。
いつの間にか、変わっていくもんなんだな。
身体も、人の心も。
「ま、お前がそうしたいってんなら、それでいいんじゃねーの?」
「ま、待ってくれ…。まだちゃんと答えを…」
キールが言い終える前に唇を塞いでやった。
途中、ドアップで目が合ってしまい、気恥ずかしくなってすぐに離した。
呆然としているキールに向かって一言。
「答えは…コレでいいだろ?」
end.