KxR

□キールの棒アイス
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ふいに太ももに当たった硬い感覚。驚いたついでに足を動かしてしまったのは、ほぼ無意識の動作だった。しかしそのせいで、今度は相手が呻く羽目になってしまう。
「キール、おまえさぁ……なんで、そんなコトになってんだ?」
リッドの視線の先を辿って、行き着いた場所。通常ならばありえない事態に陥っているそこをまじまじと見つめられてキールは赤面した。
この行為を始めてまだ間もない。お互いにそういう雰囲気になり、ベッドに傾れ込んでから、口付けたり、軽く触れ合ったり。その程度だ。にも関わらず、キールのそこは自己主張よろしく、信じられないくらい膨らんでいる。
すげぇな、とリッドは吐息混じりに呟いた。
「そんなんじゃ、保たねぇだろ?」
「う……」
覆い被さっているキールの肩を押し、腹筋の力だけで身を起こす。戸惑いがちの視線とかち合い、リッドは口許で笑った。
「一回抜いてやるから。……ホラ、座れって」
「…………リッドが、口で慰めてくれるのか?」
言ってから失言だったか、と後悔するがすでに遅かった。リッドの表情はみるみる曇り、冗談で済ませられそうな雰囲気でもない。その上無言でそこを凝視されて、キールはどうこの状況を切り抜けようか、余裕のない頭で考えていた。
「リッド、嫌なら別に……」
「……いいぜ、してやっても」
リッドからの意外な返答にキールは目を丸くする。
「い、いいのかっ?」
「嫌なら言わねぇよ。……けど、下手でも文句言うなよ」
ぶっきらぼうに言い放つ、リッドの膨れた頬が少しだけ赤らんでいるのを見つけて、キールは喜びと期待で目を輝かせた。





「……う、くっ……!ちょっ、と……いきなり、そこ、は……っ」
「ん、だよ……どうして欲しいんだ……?」
お前だっていつもしてるくせに。口から出かかったその言葉は、どうにか飲み込んで、リッドは含んでいたそこから唇を離した。息を荒げたキールと目があって、お互いに気まずさからすぐに逸らす。
「し、下から、順番に……」
「……これで……いい、のか?」
チラリと表情を伺うと、キールもまた切なげな表情でリッドを見つめていた。見るな、とでも言うように頭を掴まれ、続きを強請られる。
「それと、絶対に……歯は立てるなよ……っ」
「……注文多いな」
キールの誘導に従うようにして、リッドは舌を這わしていく。熱い吐息と時折漏れる喘ぎ声に、リッドの気分も高揚してくる。
慣れないなりに愛撫を続けていると、次第にどう触れば相手が感じるのか分かるようになってくる。
咥えたり、手で摩擦しながら舌を這わしていると、どんどんキールの吐息が濃密なものになっていく。
「……あ、っ……リッ、ドっ……もう……!」
限界だ、と訴えるように頭を押される。このまま温かいリッドの口内にすべて吐き出してしまいたい欲求と、そんなのは駄目だ、と諌める自分がいて、キールは必死に欲望を抑える。
深々と自身を咥えられ、苦しげな表情を見せるリッドに刺激され、迫り上がってくる快感に抗うことは出来ずに、キールは果てた。





「……どうしてくれんだよ……コレ」
「すまな、い……」
どうにか寸前の所で、引き剥がせたのは良かったものの、リッドの顔や、髪にまで飛び散った大量の白濁を目の当たりにして、キールは謝るしかできない。いっそあのまま飲ませてしまった方が良かったのだろうか、などと考えながら、付着したそれをタオルで拭っていく。
リッドも本気で怒っているというわけではないようだが、無理矢理引き剥がされた途端、キールの欲望を顔面に浴びせられるという、予想外の出来事に思考が付いていけずにいた。
「……まぁ、いいけどよ……。責任は、とってくれんだろ?」
唇に残っていた粘液を舐めとり、不敵に笑うリッドの雰囲気に気圧されて、キールはただ頷くしかなかった。


end.

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