キルリレー小説★
05/14(Thu) 23:26
F
通りすがり
結論から言うと、ファーストキスがレモン味だなんて嘘だった。
尤も、その答えはもっと前に出していなければ意味を成さないものだったのだが、熱に浮かされた頭ではそんなことに気付く余裕もなかったと、後に青年は語ることとなる。
「ふ、っ……んん……」
口内を舐られ、下唇を食まれる。その度にぴりぴりと背筋を駆け回る感覚は、確かな快楽だった。絶え間なく与えられる口付けは酷く甘い。貪られるまま体を委ねれば、それは益々深くなっていく。
「……リッドが悪いんだからな」
「な、んっ……」
「リッドが、悪い」
発せられた声音から熱が滲む。
冷えた手のひらが、リッドの脇腹をゆるく掠めた。
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