2008 クリスマス小話

□汚れを染める 白き雪*3
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回答は空白。

頭の中も真っ白



【汚れを染める 白き雪】

答えを待ってどれくらい経っただろうか。
望美の身体は少しずつ、温もりを取り戻してきたがヒノエの気は満たされぬまま。
静かに待てば言葉を紡ぐだろうと思ったことは間違いだったのか…

「神子姫様…?」

ひくり…
彼女の肩が震え、反応を示した。
「神子…姫、なんて……ない…で」

小さな声を聞き取るのは困難だった。
何かと伺うよう瞳を覗きこめば、音なき唇は告げていた。

―神子姫 なんて 呼ばないで
  今 日 だ け は ―


正直、驚いた。
呼び名を拒絶されるとは思わなかった。
それに『今日だけは』と続く彼女の願い。
理由は見えないが、改めて彼女の名を呼んだ。

不特定多数へ向ける「姫君」ではなく「望美」と。


「ありがとう…ヒノエくん」
そう言う彼女の瞳からは、一筋の涙が零れていたが、望美は微笑んだ。



続…

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