「わりぃ!待たせたか!?」
ロイは物凄い勢いで食堂のテーブルに一人座っているリオンの元へ走った。
「ロ、ロイ君…。慌てないで下さいって言ったのに」
リオンが慌てた様子のロイを見て顔をしかめた。
「また、せたら…わりぃだ、ろ…?」
ロイはテーブルに手をつき、ぜえぜえと息をしながら言葉を切れ切れに言う。
「そんな…気にしなくていいのに…」
「ま…いい、から」
息を整えながら、どかっとリオンの向かいの椅子に腰かけた。
リオンはさっと水差しの水をグラスに注ぎ、どうぞとロイに差し出した。
「わりぃな」
ロイはグラスを受け取り一気に水を飲み干し口を拭う。
「ふぃーうめぇ」
「待たせるどころか、物凄く早かったですね、ロイ君」
「え、そうか?」
「疲れてるでしょう?ゆっくりしていてもいいのに」
眉を潜めて言うリオンを見て、ロイはリオンに気づかれないくらい小さく溜め息をついた。
少しでも一緒にいたいから急いで走ったと言うのに、そんな気持にリオンは全くといって気づく様子もない。リオンが鈍感なのは今に始まったことではないが。
しかし、自分を気づかってくれての言葉だと、気を取り直して一人頷きメニューを手に取る。
「平気だから気にすんなって…それより、オレ腹減ったぜ。リオンもメシ食うだろ?」
「はい、食べます!朝から何も食べてないんです。……そういえば王子はちゃんとお食事を召し上がったでしょうか…」
ロイはリオンが頷き、最後に呟くように言った言葉を聞き逃さなかった。メニューを持つ手に自然と力が込もる。
「王子さんは子供じゃねぇんだ。メシ食ったかなんてリオンが気にすることじゃねえだろ」
「王子は面倒がって食べない時があるから心配なんです」
「一回食わなかったからって死にゃあしねぇよ」
「そんな言い方…」
リオンの咎めるような視線に、ロイはムッとし顔をしかめる。
リオンは口を開けば王子、王子だ。
溜め息をつき、音をたててメニューをテーブルに置いた。
「そんなに気になるんだったら、四六時中ついて歩いて、飯もリオンが食わしてやりゃあいいじゃねえか」
「ロイ君っ!!」
顔を真っ赤にして睨むリオンをロイはじっと見た。
リオンの大声に周りも何があったのかと静まり二人の様子を伺っている。
ロイはばつが悪くなり立ち上がった。
「ロイ君、どこ行くんですか?」
「……」
リオンの問いに答えず、リオンを残して食堂を後にした。
続く
ザ☆ふてくされボーイなロイ君(笑)
その2で終りませんでした…。プチデェトがなんだか言い合いに(笑)
しかし!次で終わります!