実在した海賊の物語

□ジョン・ホーキンズ
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 スペインは新大陸の住人に、日本の鎖国にも似た方式を取っていた。つまり、彼らが他国の商人と取引することを禁じていたのだ。
 イギリス商人であったホーキンズは、1562年、西インド諸島との密貿易に出かける。
 ホーキンズは、まず西アフリカのギニアに立ち寄り、3隻の船に300人の黒人の年季奉公人(奴隷)を積み込んだ。
 その後、大西洋を横断して翌年にはフロリダ半島の南東に浮かぶスペイン領、エスパニョーラ島のサント・ドミンゴに到着、嵐に遭って緊急非難を求めるふりをして入港した。
 ホーキンズは、スペインの総督に言う。

「漂流して食料が不足していて、その購入費も乏しいから、積み荷の黒人を売らせてほしい」

 当時イギリスとスペインは同盟を結んでいたことと、黒人を安く買うことによって得られる大きな利益に引かれて、総督は本国の鎖国令を知りながらもホーキンズの申し出を受け入れることになる。
 この話を知った当時のスペイン王フェリペ二世は、命令違反とホーキンズの行為に大いに怒り、彼の密貿易のことをイギリス大使に抗議した。ところが、イギリス王エリザベス一世は、このことで、新大陸との貿易が莫大な利益を生み出すことを知り、ホーキンズに二度目の航海の後援をする。

 1564年、ホーキンズのアメリカへの航海はエリザベス一世にその出資額の六割を返す事ができた。これは、大成功というに相応しい成果だった。

 その成果が面白くないスペインの抗議を振り切る形で、1567年にホーキンズは三度目の航海に踏み切ることになる。
 この航海には《ドレーク》という男も乗船していた。

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