世界の帆船
□〜大航海時代の航海術〜
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天体による経度観測がなかったわけではない。だが天体観測をするにしても、正確な時間、何時何分の高度角なのかを把握しなければ、話にならない。
正確な時間を知るには、正確な時計が必要なのだがそれは18世紀初頭にクロノメーターが完成するまで無理なことであった。
クロノメーター出現以前、航海者たちは、実際には殆ど方向と経度のみによって自分の位置を知り、また発見した陸地を特定していた。
要するに、航海者たちは航海の立案者も一般の船乗りも含め、大洋の中で自分の位置もよく分からずに目的地に到着できるか疑わしい航海に、自ら進んで乗り出していったのである。