『みんな頑張れー!!』



快晴が続く空の下
炎天下と言うのはまさにこのような状態なのだろうか

ギンギンに照りつける太陽は私たちを苦しめていた



『ふぅ。これで、だいたいの洗濯は終了ね。次は、スコアに、ドリンク、タオル……。』


「頑張っているな。」


『あ、手塚。ありがとう!』


「あ、少し休憩したら?」


『え、いや、でも、ほら!まだまだ仕事残ってるし!!』


「だが、無理して倒れたらもともこうもないだろう。」


『ま、まあ、そうなんだけどさ…。』



休めない理由があるから、休まない



ただ、あの人に認めてもらいたい一心でやってること
マネになってからずっと認めてもらうという目標に向って、ただひたすらその目標に向って頑張ってきたのだから



「マネージャー!」


『はーい!!…2人とも、嬉しいけど、やっぱり動いてないとダメみたいだから!心配してくれてありがとね!』


「お、おい…!」


「行っちゃったけど、大丈夫かなあ?」









『桃、どうしたの?』


「あ、先輩、」


『うわっ…。』



目の前には後輩の桃と越前くん
越前くんの顔に青たんのような痣が出来ていた

なんとも痛々しい


多分、桃のダンクスマッシュが顔面直撃と言ったところだろうか…



「いや、オレのダンクが越前の顔に当たっちまって…。」


「いてて……。」


『もうっ!ほら、まずは冷やして!!』


「冷たっ!」


『当たり前でしょ?!冷やしてるんだから。』


「すいません、先輩。」


『後は桃が付いてなよ。じゃあ、私は仕事残ってるから!』


「「チィース。」」



走ってスコアを部室まで取りに行く
多分、もうすぐ練習試合が始まるはず…いつもの予定でいけば


部室まであとわずかというところで私は走る足を止めた
コートから少し離れたところにある草むらでシュッシュッと奇妙な音がする

少し恐怖心を抱きつつゆっくり近づいた



『あ。』



私がわずかに出した驚きの声を地獄耳のごとく聞き取ったらしい彼はお得意のガン飛ばしをして振り向いた



「…何やってんスか。」


『ぶ、部室にスコアを取りに行こうと…海堂くん、もうすぐ練習試合始まるよ?』


海「…そっスか。」



素っ気ない態度に少し落胆する
海堂くんは覚えているのかな?マネに成りたての私に言った言葉
私を奮い立たせた言葉を海堂くんは覚えているの?


でも、未だにあなたは私を認めてはくれてないのよね



海「……フシュー。」


『いってらっしゃい…。』



走り去る後ろ姿に消え入りそうなほど小さな声をかけた

でも何でだろう…
やる気が満ち溢れている



『よしっ!頑張っ…あれ?』



クラクラとする感覚に違和感を覚え、何かに掴まろうと必死に周りをまさぐるが、外でしかも木があまり生えていない、草むらのため掴まるものがなかった




無理っ…かも……




あらがう事をやめ、素直に意識を手放すことにした



















……い

………ぱい















あれ、誰かの声がする
誰の声かな?


私を呼んでるの?



誰が私を呼んでるの?








…………フシュー
















『海、堂くん…?』



目を覚ますと天井は真っ白な世界で、すぐ横には海堂くんの顔
あ、ちょっと心配してくれてる?



「……何やってんスか。」


『なんか意識が遠くなっちゃってね…アハハ。』


「笑い事じゃないっスよ。オレが見つけなかったら、どうしてたんスか。」


『ごめん。あ、ありがとね!…あれ?この花、』



見知らぬ綺麗な赤と黄色の花に目を見張る
すごく綺麗で



「花金鳳花…先輩、花言葉知ってますか?」


『し、知らない…けど。』


「[人格が認められる]っスよ。」


『そ、それってもしかして…!』



プイッ



そっぽを向いてやっぱり素っ気ない
でも心なしか頬が赤くなっているのは気のせいではない模様















『今日からマネになります、よろしくお願いします!』


「コイツはよく働くヤツだ。みんな仲良くしてやれ。」


「「「はーい!」」」



頑張ってやってるのに、上手くいかない
何度やっても失敗ばかり、私は何も出来ないダメな人


そう弱音を吐いた私に向って



真っ直ぐ私に向って



「オレはあんたを認めない。認めてほしいならバカと思われるくらいがむしゃらにやってみろ。」



あなたがくれた




今の私。










花金鳳花
―私が頑張る理由―




07.12.08.
輝羅


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