日記SS

□冬夏
1ページ/1ページ


※大学生×高校生時代の話。

地面を跳ねる雨音。独特の匂いが鼻をくすぐり、少し冷たい空気が体を撫でる。
森に囲まれているからか、草木の空気を強く感じた。
透明なビニル傘を差し、冬大がやってくるのを待つ。
時間があれば学園の外に抜け出すが、今日は平日のど真ん中。
戻ってくるには時間が厳しい。そのため、敷地から出るのに使っている抜け道を使い、バイクを置いてる場所で待ち合わせている。
乗り方を教えてもらっているが、深吾にいつも乗せてもらっていて、運転する機会はすくない。多分忘れている。
「夏維」
大好きな声が耳を撫で、ビニル傘越しに見える恋人の姿。
濡れるのを厭わず、こうして会いに来てくれる。
嬉しくて、本当に嬉しくて、傘を放り投げて駆けだした。
抱きとめてくれる大きな体。久しぶりに嗅ぐ匂いに、麻薬のような悦楽が頭をめぐる。
「冬大」
甘く呼べば、応えてくれるように強く抱きしめてもらえた。
「濡れたらどうするんだ」
「それはこっちのセリフだってば。風邪引かないでね」
「俺はそこまでヤワじゃない」
「俺もヤワじゃないのは、冬大が知ってるだろ?」
意地悪な応答に聞こえ、二人ではにかむ。
週末まであと少し。我慢できるように唇をせがめば、情熱的なキスに酔いしれる。
早く時間が経ってほしい。この人を、もっと独占したい。
この人は俺の──……
雨ですっかり濡れた頬はとても冷たくて、温めるように何度も何度も口腔内を弄った。



おしまい。

雨の中イチャイチャしてるだけになった(笑)
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ