日記SS

□冬夏
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※Twitterでエイプリルフールネタのタイムアタックをして遊んでいたのですが、時間がなかったので中途半端に終わってしまったので、こっちで完成させます!
※Twitterを見ていた皆様、タイムアタックにお付き合いいただきありがとうございました!(笑)


「冬大…」
なんとも言えない表情で見上げられ、不安を煽られる。
一体なにがあったんだろうと頬を包めば、すりりと手のひらに温もりが強くなる。
「どうした?」
「…ねぇ、嫌だとか絶対言わない?」
否定する内容というのがわかり、胸に炎が揺らいだ。
離れるつもりなら、絶対に許さない。
絶対に手放さない。逃がさない。
「別れるつもりはないぞ」
「そうじゃなくて!その…」
低く唸るような声を出したからだろう、夏維は慌てて訂正をした。
口をもごつかせるだけで何を伝えたいのか、言いたいのか、察してやれない。
もどかしい。
早く答えを教えてほしい。
「…赤ちゃん、好き?」
「は?」
「だから、赤ちゃん」
「……あえていうなら、好きかもな」
姪の面倒をみれるくらいだから、嫌いではない。
ただ、いまだに赤ん坊に対して怖さはある。
ますますわけがわからず、つい夏維の頬から手を放せば、瞳は悲しげに揺れた。
「どうしたんだ?」
「できたんだけど…」
「なにがだ?」
「赤ちゃん、できた」
反芻することもせず、夏維の髪を鷲掴み、喉を強引に反らさせる。
「痛っ…!」
「どういう事だ」
「とっ…やめ、乱暴にしな…あっ!!」
床へ思い切り叩きつければ、うめく声が聞こえたが、そんなことどうでもいい。
これは俺のものだ。
夏維の意思なんてない。俺が全て掌握しなければ許さない。
どこの女を抱いた。
ガキまで作っちまうなんて、その女を愛したのか?
俺以外に心を向けたのか?
「やめっ…!やだっ!!」
足をバタつかせ、俺から懸命に逃げようとする様に、ますます血が熱くなる。
その体を淫らに染めさせた。俺が悦ぶ事を叩き込んだ。俺以外に足を開かないようどれだけ犯したと思っている。
優しくするつもりなんて、ない。
足の腱を切っちまって、二度と外へは出させない。
俺以外を瞳に映させはしない。
背中を踏みつけ、ズボンを引き抜くと悲鳴は大きくなる。
「冬大!聞…っああ!」
強引に指を突き入れれば、魚のように体は跳ね上がり、つい口角があがった。
「男に突っ込まれて悦んでる奴が親になるなんて、失笑ものだな」
「違っ…おねが…聞…いて…」
「お前は、俺の女だろうが!」
「冬大っ…」
「誰が離すか」
ここまで人に執着したことなんてなかった。
ここまで手放したくない、ずっと傍に置いておきたいと思うことなんてなかった。
何度も泣かせて、何度も蹂躙した。
それくらい、欲しくて欲しくてたまらなかった。
気持ちを引き止める術なんてわからず、傷つけて、悲しませて…そして、一度失いかけた。
愛してるなんて言葉じゃ足りない。
これがいなくなってしまったら、俺はどうすればいい。
俺のこの感情を、非道さを、夏維は受け止めてくれる。愛してると笑って包んでくれる。
嫌だ。絶対に嫌だ。
それなら、殺してやる。
一生俺のものになるよう、抱き殺してやる。
ベルトを外し、ファスナーを下ろしていれば、夏維はひきつるように叫んだ。
「嘘!嘘だから!やめて!!」
「…今更遅すぎる言い訳だな」
「ほんとっ…ホントだって!今日エイプリルフールだってば!!!」
ゆるかった性器を指で昂め、貫こうとする直前に俺は動きを止めた。
エイプリルフール…?
今朝カレンダーを変えたのが蘇り、今日の日付を明確に思い出す。
「…ガキができたってのは…」
「俺が妊娠したって、絶対わかる嘘つこうとしたんだってばぁ…」
怖い思いをさせてしまったらしく、胸を締め付けるその声。嗚咽を溢し、震える姿。
だが…
「…あああっ!!」
部屋につんざくような絶叫が響く。
俺が揺れれば、悲鳴も揺れる。ギチギチに閉ざされた秘所は、俺を追い出そうと噛みちぎるように力を込めてきた。
いつもなら、とろとろになったここは俺を温かく包み、ほどよい締めつけで絶頂へ導いてくれる。
こうして強引に押入れば、拒むように痛手を負わせてくる。
「やっ…いたっ…あっ…あっ…!」
「……」
「冬、大…っ…ごめ、なさ…」
ごめんなさい。嘘ついて、ごめんなさい。そう言って泣きじゃくる夏維を、俺はただただ無言で嬲り続けた。


何度蹂躙しただろう。太陽はすっかりオレンジ色の空に吸い込まれそうになっていて、俺は眼下でボロボロになった夏維を冷ややかに見下ろしていた。
「…生きてるか」
「……」
力なく首を振られ、体液塗れの体を抱き上げれば、擦り傷や打ち身があちこちに見える。
「謝らないからな」
「……」
怒っているのかなされるがままに、胸に顔を埋める。
風呂へ連れて行けば、やっと重い口は開かれた。
「ちゃんと、嘘って言ったのに」
嗄れた声は酷く苦しそうだ。
「紛らわしい言い方をしたからだろ」
「…そっちのほうがリアリティあるかと思ったもん…」
「俺がガキを作ったら、どう思う」
「………ごめん」
「つくなら、もっとわかりやすくついてくれ」
冷たいタイルに夏維を下ろし、今日で一番の優しいキスをする。
最初はもちろん紛らわしい嘘に怒りを抑えきれなかったが、夏維が俺以外に体を預けなかった事に今は安堵している。
愛してる。
手放したくない。
だから、こうやって甘やかす。
離れないように、逃がさないように、甘く、甘い鎖に縛り付ける。

おしまい。


あとがき。
エイプリルフールなので、100%わかる嘘をついたら、勘違いされてこうなったっていう話でしたw
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