お話

□生きるのを諦めないー杉元ー
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杉元から出る言葉を一つ一つ受け取る
気を失いたくなる程の愛の言葉にいっぱいいっぱいだった
「わ、私、私…杉元さんのこと、好き、だけど、わかんない…」
「…うん、ごめん。混乱しちゃうよね」
杉元はそっと体を離す、冠と同じ真っ赤に染った顔は冠に対する愛に溢れている
「金塊探しが終わったらさ、俺と一緒に来て欲しいんだ。梅ちゃんに、冠ちゃんを紹介したい。俺の大事な人だって、生涯離したくない人だって」
「…っううぅ…っ」
ボロボロと涙が零れる
嬉しさと恥ずかしさと暖かい感情に戸惑い涙腺が決壊してしまった
「一緒に、来てくれる?」
「…ッ」
コクコクと頷くだけで精一杯だった
杉元は嬉しそうに笑い冠の涙を拭う
「泣かないでよ、冠ちゃんの涙には弱いんだ俺…」
「ごめ、なさい…ッぐす…」
「そんな所も好きだけど、やっぱり笑ってる顔が一番だ」
「ん、…っうん、へへ、はぁ…」
深呼吸をして改めて杉元に視線を合わせる


「…遅くなったね、戻ろうか」
「うん、…手繋いでいい?」
「勿論」
絡ませた指は少し強く握られる、それが嬉しくて二人で微笑み合った
「…そういやさ、俺の事名前で呼んでくれないか?」
「え!」
「二人きりの時だけでもいいし、皆がいる時呼んでくれても…名前呼ばれたい」
「〜〜ッさ、…さいち、さん…」
小さく呼んだ名前は確かに杉元の耳に入った
その瞬間思いっきり抱き上げられ腕に納まった
「ふぇぁ!!」
「嬉しい、ありがとう冠ちゃん」
「…顔が良くてこまるぅぅぅ…!!」
なにそれ、と笑われてしまいコツンと額が当たる
そのまま唇同士が当たり啄むキスをした
「…嬉しすぎて死にそう、死なないけど」
「うぅ…恥ずかしいからもう帰ろうよ…!」
「ん、はいはい、恥ずかしがり屋だなぁ」
愛おしそうに笑われ思わずぎゅっと首に抱きついた


抱き上げられたまま二人で皆が待つ家に戻るとアシリパが寝ぼけながら冠を待っていた
「アシリパちゃん!」
「んん…冠、おそい…杉元、冠をおろせ…私と一緒に寝るんだ…」
「えぇー…俺も冠ちゃんと寝たい…」
不満そうなアシリパに皆で寝ようと提案するとじゃあ冠が真ん中、と三人で寝ることになった
「…おやすみ、冠」
「おやすみなさい、アシリパちゃん、さ、…佐一さん」
「…おやすみ、冠ちゃん」




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