お話

□生きるのを諦めないー杉元ー
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杉元から身を引こうとすると力いっぱい抱き締められる
「ぅっ!?」
「聞いて、違うんだ。俺は…俺は君が好きなんだ、冠ちゃんの事を…」
「…!!?へ、えぇ…!?」
怒涛の情報に理解が追いつかない、顔は真っ赤になり湯気が出そうだった
バクバクと心臓がうるさい、うるさいはずなのに杉元の声ははっきりと聞こえる
「歳も離れてるし、いきなりこんな事言われても迷惑だって分かってる…でも、冠ちゃんが他の野郎と居るのを見ると、辛いんだ…だから、…俺を選んで…」
「…なん、なんで私…?私、杉元さんに好きになって貰えるようなこと、してないよ!」
離れようと杉元の背中をぽんぽんと叩くが寧ろ強く抱き締められる
杉元は少しずつ己の思いを口にする

「宿屋にいた時の冠ちゃんは、すぐに死んでしまいそうなくらい小さくて弱そうで、アシリパさんよりも目に入った」

「少しずつ元気になる冠ちゃんを見ていて眩しくて、血に汚れた俺が触れると穢してしまいそうで…なのに冠ちゃんは俺を怖がらない、寧ろ優しくて、どんどん愛おしくなって」

「触りたいって、ずっと一緒にいたいって、離れたくないって、自覚したら好きでたまらなくなった
尾形に触った時は何で俺じゃないんだって思った、俺だけが冠ちゃんに触れられたらってずっとずっと」




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