お話

□生きるのを諦めないー杉元ー
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「おい、その手離せ」
「す、杉元さん!」
いつの間に居たのか分からないが杉元が尾形を睨んでいた
冠は掴まれた手を抜き杉元の近くに避難する
その行動は尾形より杉元を選んだ、というものだった
「こんな所に連れてきて何しようってんだ、冠ちゃんに」
「…知らんなぁ、遅かったから迎えに来たらここに居ただけだ」
「…そうなの?冠ちゃん」
「えっ、う、うん、ちょっと風に当たりたくて…」
咄嗟に嘘をつく、ここで血の争いなど見たくなかったからだ
杉元に手を引かれ家に戻る道を歩く
背後から尾形の視線を感じたが振り返ることなど出来なかった

「…やっぱりそっちを選ぶんだな」

小さな呟きは闇夜に溶けた




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