私もあなたも片想い
□7章
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私は脱衣所から出た。
自室に戻ろうと車椅子をおす。
しかし私の自室は2階だ。
足が全く動かない私にとって、階段をのぼるのは困難だということに気がつく。
目の前の階段を見上げた。
「……」
自分の青くなった足を見つめる。
「……」
……。
こんな足じゃ皆とキャンプに行けない。
祓魔師にすらなれないではないか。
雪くんを守れないし燐や悟、祓魔師塾の皆を守れないではないか。
さきほど雪くんにフラれた事を思い出す。
「……」
私にはもうなにもできない…?
なにもない。
悪魔に体を蝕まれるのをただ待つしかできないんだ。
ー ねえ、自分が嫌い?
悪魔の声がした。
「…うん」
私は自分が嫌いだ。
なにもできない自分が一番嫌いだ。
ー じゃあその体もう要らないと思うしもったいないから私が貰うわね。
「え…?」
悪魔がそう言ったと同時に、酷い頭痛に見舞われる。
あまりに痛すぎて車椅子から転倒し、床にしゃがみ込む。
「いっ、た…い…っ」
自分の尾骶骨からみるみる悪魔のような尻尾が生えていくのがわかる。
さらに私の耳は悪魔の耳へと変化していく。
「い…いや、嫌だ…嫌だ…!」
ー 嫌だなんて悲しいこと言わないで。
私はあなたの味方、あなたが望んだことを代わりに叶えてあげるだけ。
嫌だ、誰か助けて…。
「雪く…ん…」
そこで私は意識を失った。