ずっとあなたの側にいれるなら
□1章
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12歳の時、私は炭治郎に好きだと告白した。
その日は大雪で夜空から沢山の白い雪が降っていたのを覚えている。
寒いからと言っておばあちゃんは炭を売るため下山してきた炭治郎を呼び止めて、火を焚いてくれた。
「わざわざありがとうございます」
そう言って炭治郎はおばあちゃんにお礼を言った。
おばあちゃんは「いいよ」と言って食事の支度をしに行った。
炭治郎の横で一人そわそわしてる私は恥ずかしながらも炭治郎が側に居る嬉しさを隠しきれなかった。
もういっそのこと泊まっていってほしいと思っていた。
「千歳、寒くないか?」
「えっ…」
炭治郎は先程よりも私の近くに寄り、背中を揺すってくれた。
「…大丈夫、寒くないよ」
私は恥ずかしくなってうつむいた。
「千歳?」
「たっ…、炭治郎」
「?」
「好き…」
「え?」
「……。好き…!」
もう言ってしまえば気が楽になるかと思ったのだろう。
気が付いたら私は炭治郎に告白していたのだ。
おばあちゃんと二人暮らしな私を気遣ってくれていた炭治郎が好きだった。
優しくてよく頭を撫でてくれる炭治郎が好きだった。
ずっと側に居たいと思うほど、私は炭治郎に恋をしていた。
「えっ……」
炭治郎は私の告白を聞くなり顔を真っ赤にする。
「ずっと炭治郎の側に居たい」
「……千歳」
炭治郎は一息つくと口を開いて言った。
「ありがとう、すごく嬉しい。
俺も千歳が好きだよ。
でも、恋愛とかした事ないからよくわからないんだ。
千歳を思うこの気持ちが恋愛感情としての好きなのか、そうじゃないのか俺にはよくわからない…」
「……」
「だからごめん…、まだ返事はできない」
「うん…わかった」
うつむく私を見て炭治郎は頭を撫でてくれた。
「ありがとう、千歳。
すごく嬉しいよ」
そう言って笑顔に微笑む炭治郎に胸がしめつけられたのを今でも鮮明に覚えている。
もし炭治郎が私によせる好きという気持ちが、恋愛感情じゃなかったらどうしようという気持ちに苛まれていたからだ。
もやもやしてたまらなかった。
炭治郎は皆に優しいから私みたいに彼に恋をしてしまう人はきっといっぱい居る。
それが嫌だった。
あれから一年後、炭治郎の家は鬼に襲われた。
隣人の人からそれを聞いて私は気がついたら炭治郎の元へと足を走らせていた。
「はあ…はあ…」
炭治郎の家に着いた頃には息が切れていた。
でも私は急いで炭治郎や炭治郎の弟、妹たち、炭治郎のお母さんの安否を確認した。
炭治郎の家はそこら中にとび血や血が畳にしみていた。
でも死体はなくて、一体誰の血なのか不安で仕方なかった。
「千歳……」
背後から炭治郎の声がし、振り返るとそこには真っ青な顔つきをした炭治郎が立っていた。
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