ずっとあなたの側にいれるなら

□1章
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「炭治郎!!!
ま、待って!下ろしてください!
炭治郎がっ…!」



「うるせえええ!!あいつなら大丈夫だ!!」




大丈夫って、

この人は何を根拠に言ってるんだ。
いくら炭治郎が男とは言えど、人間が鬼に勝てるわけない。
私は一瞬であんなに吹き飛ばされたのに。

炭治郎が死んでしまったら私は…。



だんだんと炭治郎から遠ざかるにつれ、私はとてつもない不安に駆られた。


炭治郎までおばあちゃんみたいに死んでしまったら……、そう思ったら私はがむしゃらにイノシシ頭をした男性に抵抗していた。




「おい!!てめぇえ!!落ち着けえええ!!」



「なら離してください!」



「ぜってえ離さねえぞ!!
炭治郎に頼まれたんだからなあああ!!」



「バカ!!離して!!」



「バカは余計だろおおおお!!」




確かにバカは余計かもしれないけど私は精一杯の力を振り絞った。

しかしイノシシ頭をした男性の力は半端ではなく、気が付いたら炭治郎の姿が見えなくなるほど私達は遠ざかっていた。

逃げる気力を失った私はただ呆然と走ってきた方向を眺めた。


炭治郎は大丈夫なのだろうか…。
だいたい、この人は炭治郎の友人なのかな。

上半身裸で、頭にはイノシシの被り物。
かなりの変質者には間違いない。




「よし、ここまでこれば安全だろ!」




そう言うとイノシシ頭の男は私を下ろした。




「あの…炭治郎の友人の方なんですよね」



「おう。お前、炭治郎の彼女だろ?」



「えっ!彼女!?」




私は目を開いて驚いた。




「ちげえのか?」



「違いますよ…!」



「お前、炭治郎の彼女のくせになんでそんな卑猥な格好してんだよ」



「だから彼女じゃないです…!」



「伊之助ーーーっ!」




否定すると同時に私達が逃げてきた方向から黄色い髪色をした全体的に黄色い少年が息を切らして走ってきた。




「はあ……はあ。
お前も炭治郎も勝手にどこか行くなよ!
探すの結構大変だったんだぞ…って……」




話だしたと思ったらその少年は私の顔を見るなり血相を変えて驚いた。




「かっ、可愛い遊女さんが!!」



「こいつが炭治郎の彼女だ」



「えッッッ!?
こここの人、炭治郎の彼女なの!!?」



「ああ」



「ええええええ!!!」




黄色い少年は大声を出して驚く。




「あの…。
私、炭治郎の幼馴染であって彼女じゃないです」




彼女になりたいと思ってるけど…。


もしかして炭治郎が私のことを彼女だと紹介したのであれば、私としてはすごく嬉しいけどそんな事あるわけない。
あんな別れた方したのに彼女だと紹介する筈がない。




「伊之助!!
違うって言ってるじゃないか!」




私の目の前でなんだか言い争いをしているけど、それより今は炭治郎のことが心配だ。




「あの、炭治郎は大丈夫なんですか?」



「普通の鬼だったし問題ねえ」




イノシシ頭の男はそう言った。

問題ないって、炭治郎は大丈夫って事なのかな。




「鬼殺隊が来たらにはもう大丈夫だよ」




黄色い少年はそう言うって私を安心させようとした。




「鬼殺隊…?」



「あれ、知らないの?」



「はい」



「鬼殺隊っていうのはその名の通り、鬼狩りを専門としてる組織だよ。
僕とそこの伊之助、あと炭治郎も鬼殺隊員なんだ」



「…炭治郎も……」




炭治郎がやらなければならない事って鬼殺隊になる事だったのかな…。

鬼殺隊っていうのは鬼を狩る組織。
その隊員なら炭治郎は無事なのかな。


よくわからないけど、早く炭治郎に会いたい。




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