短編集

□みんなの苦手で嫌なこと1
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 ルパン三世という人物は、味方には好かれやすく敵にどこまでも嫌われる生き物である。悪党でありながらどこか情に熱く、そして命を狙うものには容赦ない。その癖殺しを嫌うため、敵は増えていく一方だった。
 敵が増えればその敵同士が手を組みルパン達に一泡吹かせようと考えてもおかしくない。潰されたマフィア、恥をかかされた殺し屋に同業者の泥棒達。人数は200を優に超え、何日も何日も作戦会議をおこなったのだった。
「それにしてもどうすればよいのやら…肝心のルパンの弱点は分からずじまいだぜ?」
「いや、それについては簡単なことだ」
 泥棒の1人が顔を顰めてそう言えば、ギャングがスッと手を上げた。人数分用意された粗末な椅子から立ち上がり、指をさすのは…ルパン本人ではなく、その仲間たち。
「奴の弱点は特定の仲間とつるんでいる、という事だ。周りのコマを潰して一か所に集めりゃ、勝手に根を上げて出てくるか…はたまた玉砕覚悟で突っ込んでくるか…」
「なるほど。仲間の方の弱点はある程度割れている、それならば容易いかもな」
 作戦が決まれば善は急げである。善と呼ぶにはあまりにも薄汚れて小癪な手ではあったが、各々ゾロゾロと作戦に向けて動き出したのだった。
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