東方幻絵巻
□雨音
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神無月「さ〜く〜ら〜さ〜く〜ら〜さ〜き〜み〜だ〜れ〜♪そ〜ら〜に〜ま〜う〜h……ん?」
ちょうど昼頃、俺は歌いながら廊下を歩いていると広間で幽々子達が何やら深刻そうな話をしていた。
神無月「何の話をしているのでしょうか?」
気になったので、一応丁寧な言葉で質問する。
幽々子「あら、神無月」
重臣C「最近は雨も降らず、日照り続きなものでしてな…」
……成程、確かに最近雨を見ていないな…
雨が降らなければ作物が育たない……今はその会議という訳か…
重臣A「……これは我々の問題、口を挟m」
神無月「では私からも少し助言を致しましょう」
重臣D「戦う事しか能の無い方は黙って頂きたい」
そう来ると思ってたぜ馬鹿共、お前らみたいなのがいるから国が駄目になっていくんだよ。
神無月「おや、それは心外ですね……こう見えても京では帝に政(まつりごと)の助言をしていましたのに」
重臣B「帝に…!?」
重臣D「そ、そんな事は偽りに過ぎん!」
神無月「そうでしょうね、あなた方からすれば偽りもいいところ……ですがここにもいるのでは?己の私腹を肥やす為だけに政を行っている外道がねぇ…」
辺りがシン…と静まり返る……そう考えてる奴がいたんだな…
神無月「先ず、雨乞いの儀式は行いましたか?」
これをしない事には何も始まらない。
もしここに神がいるのなら、大抵の奴は雨を降らせるが……
幽々子「ええ、既に行いましたが……雨が降る気配はありません…」
成程……神がいるとしたら余程のケチだな。
神無月「この辺の気候についてはよく分かりませんが、ため池などは?」
重臣B「あるにはありますが……底が尽くのは時間の問題かと…」
結構詰まってきたな……この辺りは意外と雨が降り難い地方なのか?まるで讃岐の国だ…
神無月「大分詰んできましたね……あまり考えたくはありませんが、一先ず言える事は飢饉に備えるほうが良いでしょう。私は依頼がありますのでこれにて…」
幽々子「……ええ、今日も頑張って下さいね」
幽々子は微笑みながらそう言った。
俺は一礼した後に広間を出る。すると上手く聞き取れ無かったが、妙な事が聞こえた。
重臣B「や…り……あの方法…か…」
幽々子「……仕方あり…せん……」
神無月「?」
あの方法?まだ策があったのか…?
…………………………
……………………
………………
神無月「あらよっと」
スパッ ズゥン…
住民A「すまねぇな、俺達じゃ中々切り倒せなくてなぁ」
神無月「いいって事よ、俺は万屋だぞ」
白雷「神無月様ー、こちらも終わりましたー!」
幽香「先生、こっちも終わりました!」
神無月「おーう、了解したー!」
俺と白雷は薪や家の材木となる木を切り倒していた。
そして幽香は木の苗を植え、自身の能力で成長させていた。
花だけかと思っていたが……意外と大丈夫なのか…?
神無月「一応依頼はこれで終わりだが……運び出すのは大変じゃないか?」
住民A「いえいえ、ここからは俺達の仕事でさぁ」
神無月「なら一つ聞かせてくれ。雨乞い、ため池の方法が無くなった今、雨を降らせるような儀式がまだあるのか?」
俺が住民に尋ねると、先程まで生き生きとしていた顔から一変、暗い表情に変わった。と言うか旦那、凄い表情の切り替えッスね。
住民A「……あるにはありますが…」
白雷「どのような儀式なのですか?」
そして住民は暫くの沈黙の後、口を開いた。
住民A「……生け贄です…」
白雷「え…!?」
神無月「……」
白雷は目を丸くして驚いた、恐らく幻獣界でそのような事は無いのだろう。
だが俺が驚く事はない、大体の予想はついていたからな…
住民A「……ここでは雨がどうしても降らない場合、ある湖で神に生け贄を捧げるんだ…」
白雷「そんな…」
生け贄がいないと動かないってか、邪神じゃあるまいし……仕方無い、どうやら久々の『裏仕事』のようだな…