東方幻絵巻

□八雲の式
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〜白玉楼〜


神無月「なぁ、藍」


パチッ


藍「何でしょうか?」


パチッ


神無月「どうして紫の式になろうと思ったんだ?」


パチッ


藍「そうですね……最初はそうでも無かったのですが…」


パチッ


神無月「俺が来る前に紫が何度も来て、いつの間にか魅入られてたって訳か?……王手」


パチッ


藍「んなっ!?…………ま、参りました…」


俺と藍は白玉楼の空いている間で将棋を打っていた。結果は俺の勝ち、こう見えても帝に将棋の講師をしていたからな……万屋として…


神無月「よし、今日は付き合わせてしまってすまなかった。礼を言う」


藍「いえ、こちらこそ貴重なお時間をいただきありがとうございました」


藍は一礼した後に駒を片付けて、部屋を出た。
さて、今日はちょっとした話をしよう。
時はさかのぼり、俺が初めて八雲紫と出会った時へ……


…………………………
……………………
………………


〜数年前〜


神無月「よし、今日も異常無しだな」


俺は自ら白玉楼の見廻りをしていた。
何か嫌な予感がする訳ではないが、何となくと言うやつだ。
だが俺は立ち止まり、辺りを見回す。


神無月「……誰だ?」


ちょうど中庭で立ち止まり、辺りに呼び掛けた。
当然、周りには以外は誰もいない……だがこの辺の別空間にいる…


?「……バレたか…」


美声が響き、俺の目の前の空間が裂け中から金髪の女性が出てくる。


?「私の初めて、破られちゃった♪」


神無月「……」


……何なんだこの人は…出てきていきなり誤解されそうな言い方を……人間では無いな、確実に…


神無月「ご用でしたら正門からお入り願えますかな?許可を貰ってから空間移動してきて下さい。あとお名前も…」


紫「面倒だから貴方が確認して頂戴。私は八雲 紫、妖怪よ。ゆかりんって呼んでね♪」


神無月「……」


……何を言っているんだこの御仁は…ゆかりんって……ここまでの人物は見た事が無いぞ!?と言うか自分で言うかそんな事!?
高い妖力を持ってるし……何者なんだ…?


神無月「私は居候の身、他の方に確認を…」


紫「神無月……貴方の事でしょ?」


名乗った覚えは無いんだがな…


紫「私は幽々子の親友よ、なのにその扱いは酷いんじゃないかしら、居候さん?」


紫と名乗る女性は扇子を広げ、口元を隠す。
最初はハッタリだと思ったが、扇子を見た瞬間に嘘では無い事が分かった。
普通は扇子だけで判断はしないのだが、その扇子に幽々子の霊力が付いていたのが決定的だった。これは疑いようがないだろうな…


神無月「…これは失礼した。では紫殿、今日はどのようなご用件で?」


紫「そんな固い喋り方しないでよ、こっちが喋りづらいわ。普通に話して頂戴」


言ったな?後悔するなよ。


神無月「失礼致しました。……で、何の用だ?」


紫(……さっきのままで良かったかも…)


紫が苦い顔をする。だから言ったろ?後悔するってなぁ。
……あ、言ってないか。


紫「取り敢えず、ちょっと貴方に依頼を持ってきたのよ。幽々子からの許可は取ったわ」


いやいきなり何言い出してるのこの妖怪。
俺を借りる?馬鹿言ってるんじゃないよ、心が黒そうで何考えてるか分からないような奴の依頼を受けるとでも?三色団子三本でも動k


紫「ちゃんと報酬は払うわ。三色団子十本でどう?」


神無月「慎んで依頼を受けさせて頂こう」


紫「決まりね♪」


心の中でツッコミを入れている読者殿も少なくは無いだろう。
でも仕方ないじゃん、十本なんて言われたら受けざる負えないじゃん。
さてと……どんな依頼かねぇ…


紫「ここじゃないから……場所を変えるわよ」


神無月「ゑ?……どぉわあああああああ!!?」


突然俺の足下の空間が裂け、その中に落ちてしまう。ちょ……中怖い!なんか見られてるんだけどぉぉぉ!?
……先が不安になってきた…orz
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