東方幻絵巻

□つかぬ間の平和
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〜森〜


神無月「あぁ〜暇だ〜」


俺は今、とてつもない暇に襲われている。
妖花は療養中、ザンは妖花の後を継いで庭師をしている、白雷は買い出し、幽々子は阿一の屋敷、俺は……する事ナシ!
いや、俺もする事がなく、その事を幽々子に話したら…


幽々子『たまにはのんびりしないと、身体が壊れちゃいますよ♪』


……この始末。


神無月「ハァ…」


いつもなら旅をしているから飽きないのだが……同じ風景ばかりだと……あ。


神無月「そうだ、散歩に行こう」


最近は白玉楼に籠りっぱなしだったからこの地方を全く知らない。丁度いい、この地方を調べてみるか。
俺は屈んで空を飛ぼうとしたその時…


魅魔「あ、師匠!」


一気に力が抜けた。
畜生!魅魔ぁ!


魅魔「師匠、こんにちは!」


神無月「魅魔か……お、幽香も」


幽香「は、はいこんにちは!」


神無月「よ!……ん?」


魅魔の隣に見たことのない女の子がいた。そのこは銀色の長い髪に……なんだありゃ、触角か?


?「……今……触角って思いました?」


その子は俺に問う。
……そうだな…


神無月「思った」


?「うわああああん!!」


俺の答えを聞いた瞬間、その子は突然泣き出してしまった。
うぇえ!?そんなにショックだった!?


魅魔「し、師匠!?どストレート過ぎますって!」


幽香「いくら何でも今のは……最低です!」


神無月「いや、あの……すいませんでした…」


…………………………
……………………
………………


魅魔「落ち着いた、神綺?」


神綺「ぐす……うん……」


この女の子の名前は神綺というらしい。
自分ではあの……なんというか……ん?アホ毛?じゃあそれで……そのアホ毛が気に入っているらしいが、周囲からは触角だの鬼○郎の妖怪アンテナなどと言われているらしく、本人はそれを嫌がっている。そして硝子ハートらしい。


神綺「ぐす……神綺です…」


神無月「……神無月だ…」


やべーよ、二人の視線が絶対零度だよこれ。寒い、寒いからやめてその目。
今は頼みの綱の白雷もいない……いや、アイツも冷たい視線で見そうだな。そうなったら凍るぞ?俺。
話は変わるが、この神綺という子は他の二人とは違う何かを持っていた。
二人の言う魔力というよりは……もっと神に近いような力を…


神無月「……で、ここで三人は何してたんだ?」


魅魔「何してたと思う?」


神無月「野宿」


魅魔「違いますよ!?何ですか野宿って!?ちゃんと家で寝てますよ!」


神無月「誰の?」


魅魔「神綺の」


神無月「人の家かよ!?だがそんな家はどこにも…」


魅魔「あー…この世界にはないです」


神無月「……この世界…?」


神綺「あ、あの……それは私から言います…」


今まで黙り込んでいた神綺が口を開く。


神綺「私……他の人と関わるのが下手で……誰もいない所がいいなと思って……別空間の『魔界』を創ったんです」


神無月「別空間を…」


なんてこった……こんな子が『空間創造』の力を持っていたなんて……俺の知り合いでもそんな奴がいたかどうか…


神綺「そこに家も創って、住んでいます」


神無月「成程ね……で、お前らはどうしてそこにいるんだ?」


魅魔「いや〜最初はこっちの世界に住んでたんだけどさ、散歩してる最中に神綺に会ってさ、それで今は魔界に住んでるって訳さ。ね、神綺」


神綺「は、はい…」


神無月(嘘くせぇ……)


魅魔「あ、そうだ師匠。神綺にも『マスタースパーク』を教えてやってくれないか?」


神無月「えー……」


神綺「……(ジワ」(涙目)


神無月「分かった!教えるから泣くな!」


何故こうなった……クソ、やっぱりアイツとの事のせいなのか!?


…………………………
……………………
………………


〜数百年前〜


?「誰にでも優しくありませんと……特に小さな子達にはです」


天行「待て、幼子は我は苦手じゃ」


?「更に言うと女性ですね」


天行「おい、然り気無く差別を感じるぞ?」


?「貴方も女性はお好きでしょう?」


天行「まあの……って何を言わせる!?」


?「フフフ……♪」


天行「全く……汝といると気が狂う……」
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