東方幻絵巻
□影と魂と
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焉「ほぉ、話のわかる方だ」
焉も影兵に武器を降ろさせる。
神無月「んじゃ聞こうか、俺を何で雇う?」
さて、どんな答えがくるか楽しみだな。
焉「そうだな……今もらっている金額の倍を出そう」
神無月「つまり金で俺を雇いたいと?」
焉「そうだ」
神無月「成程ね…」
こいつの底は知れたな。
所詮はそれしか能がないんだなこいつは。
神無月「俺は依頼を受ける時は三つの事を心がけているいる」
焉「三つ?」
神無月「一つ、一度受けたらこの身が朽ち果てるまで全うせよ。二つ、美人優先で受けろ。そして大事な三つ目は…」
そして俺は三つ目を宣言する。
神無月「女性を泣かせた奴の依頼は絶対受けるな。悪いな、お前が俺を金で雇うって時点で論外だ」
焉「実に残念だ、君は話の分かる人だと思っていたのだが…」
影兵が一斉に武器を構える。このまま奪った槍で戦ってもよかったのだが……ザンの霊力(?)が弱まっているから早めに終わらせよう。
俺は槍を頭上で振り回す。そして、
神無月「『天之逆矛』」
振り回した後、槍の柄を地に突き立てる。すると柄の方から槍が変化していった。矛の部分には御幣が付いている。
焉「な、何だそれは!?貴様何者だ!」
神無月「だから言っただろ?万屋だよ」
…………………………
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………………
〜白玉楼〜
妖花「ハァ…ハァ…ハァ……」
妖花はやっとの思いで白玉楼に辿り着いた。
門前には幽々子達が待っていた。
幽々子「妖花!無事でしたか!」
妖花「ザンに……助けられました…」
幽々子「ザン…北神家の影将……その方は今何処に!?」
妖花「私を逃がすために……」
妖花がそう告げた時、重臣の一人が空を見上げて叫んだ。
重臣B「幽々子様、空から青い光がこちらに向かってきます!」
全員が空を見上げる、その青い光は雷を纏い、ザンを背負った白雷だった。
白雷は速度を下げて幽々子達の元へ降りた。
幽々子「白雷!後ろの方が?」
白雷「はい、酷い出血です。急がないと!」
妖花「ザン!」
妖花がザンに駆け寄る。
妖花「ザン……何故お前が……ザン、しっかりしろ!」
幽々子「至急、お医者様を呼んで!」
重臣A「し、しかし、敵を助けるのですか!?」
幽々子「この方は妖花を助けてくれました、ならば今度は私達が彼を助ける番です!」
だが重臣達は動揺して誰一人として動かなかった。
幽々子「早く!」
神無月「申し訳ありません、遅れました」
幽々子の隣に突然神無月が現れた、女性を連れて。
幽々子「神無月!そちらの方は?」
神無月「名医です。永琳、助けられるか?」
永琳「まだ間に合うわ」
竹林の医者、八意永琳が大きな箱を持ってザンに駆け寄り、救命措置を施す。
その傍らには妖花がザンの手を握って泣いていた。
俺がもう少し早く来ていたのならば……こんな事は起きなかったかもしれない。
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ザンは永琳の措置でどうにか一命をとりとめたが、いつ目を覚ますか分からないらしかった。それが明日なのかもしれないし、二度と目を覚まさないかもしれない。
そして空は暗くなり、俺は縁側で星を眺めていた。
永琳「あら、ここにいたのね」
神無月「永琳……急にすまないな」
永琳「いいのよ、貴方には以前助けてもらった借りがあるし……そのかわり…」
げ、なんか嫌な予感…
永琳「貴方の本当の名前を教えてくれる?」