東方幻絵巻
□不穏な影
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〜博麗神社〜
霊古「お前達、知り合いだったのか?」
神無月「ああ、ここに来る前にな」
数ヶ月前、とある豪商から妖怪退治を依頼された。その妖怪は伊吹山にいるという。
その妖怪こそが鬼の萃香だった。
そして俺と萃香は戦い、俺の勝利に終わった。
本来ならば首を持って行かなければならないのだが、俺は萃香を逃がし、豪商には、
神無月『鬼には逃げられてしまったが、もう二度とここに来ることはない』
…と言った。
だってなぁ、人々が凶悪だと言う鬼があんなに小さな女の子だとは誰も想像がつかないだろう、俺には斬れない。
そして現在に至っている。
萃香「あの時来たのが神無月じゃなかったら、私はここにいなかったしね〜感謝感謝!」
神無月「感謝しているようには見えんがな」
萃香「にゃははは♪」
神無月「…で、飼ってるのか?」
霊古「ああ、工事してくれるからな」
萃香「まさかの飼い犬みたいな扱い!?」
飼い犬ならまだ良い方だろう……あの目は絶対違うぞ……博麗の巫女、恐るべし……
…………………………
……………………
………………
夕暮れ時、霊古は妖怪退治の依頼があると言ってどこかへ行ってしまった。
神社にいるのは俺と萃香だけになった。
俺達は縁側でたそがれていた。
萃香「いい夕日だね〜」
神無月「ああ、他では見ない……ここだけの夕日だ」
天照……あんたも息災か……?
萃香「そういえば聞きたい事があったんだけどさ」
神無月「なんだ?」
萃香「いつから『カンナヅキ』になった?」
神無月「……どうしてそんな事を聞く?」
萃香「あんたの名前はややこしいからねぇ。神無月と書いて『ミナヅキ』なのに……」
神無月「……間違えられるからさ、『カンナヅキ』でいいかと思って」
萃香「……本当の事だよね……?」
神無月「嘘ではないさ、ただ……お前の前で偽りの名を語ってしまったことは謝罪する……すまなかった」
俺は萃香に頭を下げる。
萃香「いいさ……さて、辛気くさい話はこれで終わり、呑も♪」
萃香が大きめの盃を渡してくる。まったく…俺は酔わないんだぞ?
神無月「霊古に怒られないか?」
萃香「そん時はそん時だよ」
霊古「ならば私も貰おうか」
萃・神「!?」
…………………………
……………………
………………
妖花「全く……ザンは何を考えているのだ…」
釣りを終えた妖花は帰路についていた。ザンの突然の告白(?)に少し戸惑っていた。
妖花「もっと段取りを踏んでからに……」
ブツブツと愚痴をこぼしていたそのとき、
ガッ
妖花「んぅっ!?」
突然、何者かに口を塞がれる。
抵抗しようにも既に手が縛られており、成す術もなく妖花は気を失い、倒れてしまった。
焉「魂魄妖花……貴女には魚の餌になってもらいましょう……さて、何が釣れるか楽しみですねぇ…ククク…」
妖花を襲った影兵を操っていた焉はそう言って、暗闇に姿を消した。