東方夢物語

□もう一人
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〜人里〜


人里の寺子屋に来ております、水無月です。
いやーまた来てしまいました。もう来ることは無いと思っていたんだがなー…


影花「みんなー、こんにちは」


生徒達「こんにちは!」


影花「はい、こんにちは」


……こいつ…すごいノリノリなんだが…どういうことなの……
いくら子供好きとはいえ、影花の指導力は目を見張るものだった。
こいつ、寺子屋の教師に向いてるかもしれない。
そして時は流れ、帰りの時間になったとき、


生徒N「影花お姉ちゃん、これあげる!」


生徒が渡してきたのは色とりどりの花冠だった。


影花「あら、これを私に?ありがとう♪」


影花は生徒の目線に合わせて屈む。そして生徒は花冠を影花の頭に被せた。
……ところで、あの花はどこで調達してきたんだ…?


〜向日葵畑〜


幽香「……綺麗な花冠だったわね〜……今度作ってみようかしら…」


…………………………
……………………
………………


寺子屋は昼頃に終わり、その帰りに団子屋でお茶を飲んでいた。(俺の奢り)


影花「やっぱりかわいいなぁ〜♪」


影花が嬉しそうにそう呟く……そう言えばこいつ、子供達から『狂影のお姉ちゃん』って呼ばれてたんだっけな。今では影花だが。
だがまあ……慧音もよく許したもんだ。


水無月「まあでも子供達もよくお前になついてたな」


影花「よく遊んであげたからね」


それは知らんかったわ。
席を立って会計を済ませようとしたそのときだった。


ズドォ……


水無月「うおぉ!?」


影花「きゃあ!?」


鈍い音と共に大きな地震が起きた。
影花は衝撃でしりもちをついてしまった。


影花「いたたた……」


水無月「大丈夫か?」


影花「ええ……何、今の……?」


水無月「わからん、ちょっと見てくる」


俺は急いで店の外へでる。
原因はすぐにわかった。


水無月「要石…!?」


大きさ数メートルの岩が人里に落ちてきたのだ。しかも注連縄つき。


水無月「…空から落ちて来たってのかよ…!?」


影花「な、何よこれ…!」

店から影花も出てくる。
しかし、目は驚きと言うよりも焦りの目だった。


影花「あの方向は……!!」


影花は要石が落ちた方向へ走っていってしまった。
俺も慌てて影花を追いかけた。


…………………………
……………………
………………


水無月「これは……」


影花を追いかけて、要石が落ちた場所へきた。
周辺の家屋が倒壊しており、ひどい有り様だった。
要石の付近で人が集まっていた。
俺はその人だかりに行ってみる。
影花はそこにいた、永琳もいる。すぐ傍で子供が頭から血を流して倒れていた。
先程、影花に花冠を被せた子だった。


影花「この子は……この子は助かるの!?」


永琳「出血がひどい……急がないと手遅れになる!」


妹紅「私が連れていく!」


永琳が応急措置をした後、妹紅がその子を背負って飛んでいった。
影花と永琳も急いで後を追っていった。


水無月(……影花……泣いてやがった……)


俺は周りの住民に話を聞くことにした。


水無月「なあ、一体何があったんだ?」


住民E「おお、あんたか。空からあの石が落ちてきたのは分かるよな?」


水無月「ああ」


住民E「偶々その近くにさっきの子がいてな、当たりはしなかったものの、落ちてきた衝撃で飛ばされて頭を打ったんだ」


水無月(…成程な……)


住民E「可哀想にな……明日は影花って子と遊ぶとかってはしゃいでたのに…」


それを聞いた瞬間、胸の辺りが締め付けられるような感じになった。
どうしてあの子があんな目に遭わなきゃならない!
強く手を握りしめる。
俺はすぐさま要石が落ちてきた空に向かって飛んだ。


…………………………
……………………
………………


〜天界〜


ここは『天界』、天人と呼ばれる者達が住むと言われている天国のような場所。
そんな場所で二人の女性が言い争っていた。


一人は羽衣のような物を纏い、いかにもフィーバーしてそうな女性。
もう一人は黒い帽子に小さな桃の装飾、青く長い髪の女性だ。


?「総領娘様!なぜ地上に要石を落としたのですか!?」


?「仕方ないじゃない、暇なんだもの」


青い髪の女性は続ける。


?「衣玖、私のする事に口出ししないで……ほら来た」


青い髪の女性が後ろを振り向く。そこにいたのは博麗神社の巫女、博麗霊夢だった。


霊夢「またあんたの仕業ね、天子」


天子「そうよ、暇だったからね」


霊夢「あんたねぇ……また神社壊れちゃったじゃないの!」


天子「あんな柔な神社を造るからでしょ」


霊夢は半分呆れ顔でため息をついた。


霊夢「とりあえず、あんたをボコボコにして神社を……!?」


突然霊夢の前に人が現れた。


霊夢「あら?水無月じゃないの、こんなところまで何しに………!」


目の前にいるのは確かに水無月だ。しかし、何かが違っていた。


天子「誰よあんた?」


水無月「……」


天子「目的は?」


水無月「……」


返事がない。
おかしい…いつもなら名乗っているのに……霊夢はそう思った。


水無月「お前が岩を落としたのか?」


水無月の声が響く。


天子「そうよ、何か文句でもある?」


水無月「お前は人の命を何だと思ってる?」


水無月は更に問う。
霊夢は感じていた。
水無月が喋る度に殺気が増しているという事を。


天子「地上人の事?別に、天人に比べれば、愚かな存在って事ぐらい?別に誰が死のうが知ったこっちゃないわ」


天子がそう答えた瞬間、


ゴォッ


霊夢「!」


天子「!?」


衣玖「これは…!?」


水無月から巨大な霊力、妖力、神力が溢れ出した。


霊夢(な、何よコレ!?これが水無月なの!?)


天子「嘘でしょ…こんな力……お父様以上よ!?……あんた、何者!?」


水無月?「キサマ二語ル名ナド無イ」


この時、水無月の『霊眼』は黒に近い赤い色、そして両目になっていた。
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