東方夢物語

□過去と祝い
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〜稗田家の屋敷〜


……先に言っておくけどさっきのフィクションだからね?
本当にアレで行った訳じゃないからね?
白玉楼程ではないが、稗田家の屋敷も大きかった。


水無月「お邪魔しまーす」


取り敢えず中に入った、いるかいないかは中に入ればわかるだろう。
…………いない……。
え、留守なのに誰もいないよこれ、こんなでかい屋敷なのに……セ○ムしてますか?
…………やはりいない……なんで?
タダで帰りたくなかったので適当に散策していると、書物庫を発見した。
夥しい数の巻物、古い書物、薄い本…………薄い本!?
つい気になって本を手に取って読んでしまった。
………………………………うわぁ……見なきゃよかった。
思いっきり投げたくなる衝動を抑えていると、奥の方でいかにも古そうな書物を見つけた。
名前は『幻想郷縁起』……当たりっぽいな。


水無月「ん〜どれどれ……ん?」


中にはどの年の月に何が起きたのか一字一句書かれていた。
しかしどういう訳か×××年だけが何も書かれていなかった。
その前の年、後の年は書かれている、稗田阿一が書き忘れたとは考えられない。
……阿一って誰だ?
この辺りは紫が言っていた『シャドウ』が出現し始めた年に近い……あえて書かなかったのか?でも何故隠す必要がある?
……わからん、誰もいないし、閻魔様のとこに行ってみるか。
書物を元あった場所にしまい、飛び去った。


〜青年移動中…〜


その頃、阿求はというと……


〜寺子屋〜


阿求「大丈夫ですか、慧音さん?怪我をされたと聞きましたが」


慧音「ああ、この通り大丈夫だ。ところで、何かわかったか?」


阿求「……残念ながら『シャドウ』については何もわかりませんでした。……これは私の予想なのですが……」


慧音「なんだ?」


阿求「幻想郷で……大きな戦が起きるでしょう」







〜三途の川〜


水無月「フッ……生きた心地がしないぜ」


だろうな。
ここは三途の川、本来なら死者しか来れない、どうして来れたのかは謎である。というより歩って行けました(笑)。
あり得んだろ常識的に……


早苗「この幻想郷では常識に囚われてはいけません!」


……今早苗の声がした気がする、流石は常識に囚われない巫女、格が違った。
つーか川というより湖だろこれ……さて、どう行きましょうかね……。


?「ZZZ…………」


水無月「!?」


いびきが聞こえた。
え、ここに生きた人なんているの!?
いや、そんな筈はない。
そこには三途の水先案内人……らしき人が寝ていた、つまりはサボりである。
つーかデカイな、このおっp……おっと、危ない。
起こして閻魔様の所まで連れて行ってもらうのもいいかもしれないが、ここは敢えてそのままにしておこう。


?「うぅん……四季様…………もう駄目ですって…………」


いや腹立つなオイ、寝言か?寝言なのか?夢の中でナニしてるんだよコノヤロー、鎌を川に捨てるぞ。
というかどうするか……飛んで行けるよな……うん、行ける。
GO!








〜三十分後 地獄〜


やっとついたよ!長かったよ!
三十分かけてようやく到着した。
一目でわかる、ここ地獄。
やばいよ受付みたいな所の死神とかなんというか死神だよこれ、骸骨だよー怖いよーさっきのとはエラい違いだ。
行き方がわからない以上、唯一のてがかりはあの受付のみ……俺は腹を据えて受付に聞く事にした。


水無月「あーすいません、四季様はどちらに?」


さっきの死神が寝言で言っていた名前を言った。
多分、その四季様っていう人が閻魔だろう。


死神A「映姫様ならこの先の『是非曲直庁』にいる」


いや無駄にいい声だなオイ!お前どっかでダンボール被って潜入してただろ!?


水無月「へぇ……ありがとうございました」


死神A「ところで……お前は死んでいるのか?」


水無月「ここに来たら死んだも同然じゃないか?」


死神A「それはそうなんだが……お前からは何も感じない……」


ますます自分の存在がわからなくなってきた、頭痛い。


水無月「そうか……あ、道案内どうも」


そう言って先にある『是非曲直庁』に向かった。


…………………………
……………………
………………


〜是非曲直庁〜


今まで地獄歩ってきたが……
いや地獄なんだよ?地獄なんだけど……京都に似てるんだよ、どことなく。


?「次の方、入りなさい」


扉を開け、中に入る。
部屋の中は……うん、裁判所だ。
中で待っていたのは言うまでもないだろう。
楽園の最高裁判長、四季映姫ヤマザナドゥだ。


映姫「待っていましたよ、水無月」


水無月「え?どういう事?」


映姫「貴方が来る事は先刻、西行寺幽々子から伺っています」


俺なんかの為に……。


水無月「じゃあ俺が何の為に来たのかも……」


映姫「ええ、ですが……」


水無月「やっぱり…か……」


なんとなくそんな気はしていた、ここまでくると認めざるを得ないだろう。
『干渉を受けない程度の能力』……干渉を受けないといっても、全て受けないという訳ではない。
物理的な攻撃などは当たる。
簡単な干渉、酒に入っているアルコールや、俺自身に対する能力の干渉は受けないのだろう。


映姫「すみません……普段ならこの鏡で貴方の過去が見える筈なのですが……貴方の過去は……見えない」


水無月「いや、いいんだ。過去を知ったってどうにもならないし、大切なのは今を生きる事だしな」


映姫「ここで言う事ではないですけどね」


水無月「確かに…ハハハw」


映姫「……クスッ」


つい笑ってしまった、自分でボケるなんて事は余り…………いや、意外とあったかも……。


水無月「じゃあ俺はこの辺で……忙しい中ありがとうな」


映姫「いや待って下さい、どうやって帰るつもりですか?」


水無月「どうやってって……飛んで帰りますよ?」


映姫「……え?ちょっと待って下さい、どうやってここへ来ました?」


水無月「飛んで」


映姫「……あの……川に船頭がいませんでした?」


水無月「楽しそうな夢を見てたよ」


映姫「…………ハァ……そうですか……」


この人も苦労してるな……つくづくそう思った。


水無月「あー……じゃあ世話になった」


そう言って裁判所をあとにした。
そしてその数分後…


〜三途の川〜


?「ふあぁ〜……あーよく寝た、ん〜まさか四季様に……ふふふ……」


映姫「ほう、それは詳しく話を聞きたいですね小町」


小町「いや〜夢だったんですけど、四季様とあんな事やこんなこ……と…………」


今更気づいた小町、ゆっくりと後ろを振り返る。


小町「し、しししし四季様!!!?どうしてここに!?」


映姫「どうしてと言われましてもねぇ、小町が寝ていたととある変わり者から聞きまして」


小町「ち、違うんですよ四季様、これはその…………」


映姫「問答無用、お説教です(黒笑)」


小町「あ…あ……いやああああああ!!」


はたして小野塚小町の運命やいかに!?









〜白玉楼〜


水無月「ただいま〜」


途中、誰かの悲鳴が聞こえた気がするが……気のせいだよな?


幽々子「お帰り〜」


今日の出迎えは幽々子だった、珍しい事もあるものだな。


水無月「ただいま、そうだ幽々子、俺なんかの為に……ありがとな」


幽々子「え、あぁ、いいのよ〜。大した事じゃないわ」


水無月「けど……駄目だったよ」


幽々子「そう……だとするともうわからないわね〜……あ、私も人の事言えないけどね〜」


…幽々子の過去か…


水無月「でもいいんだ、大切なのは今だからな」


とは言っても気になるがな。


幽々子「過去に囚われない、ねぇ……どこかの巫女さんね」


水無月「それは常識の方だな」


早苗「私の事ですね!」


水無月「もうわかったから!」


性懲りもなく聞こえてくる幻聴、えぇい、守矢神社の巫女は化物か!?
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