東方幻絵巻

□月の獣
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〜竹林〜


?「ここから……消えろ!」


グルルル……


満月の夜、ある者が子供を妖怪から守っていた。
妖怪は傷つき、竹林の闇の中へと姿を消した。
その者が子供に寄ろうとすると…


子供「く、来るな……化け物!」


そう吐き捨てて泣きながら逃げていった。


?「化け物…」


…………………………
……………………
………………


〜人里 団子屋『利休』〜


神無月「鬼?」


住民A「そう噂されています」


依頼を終え、休憩に俺と白雷は団子屋に来ていた。
そしてそこで住民達の噂で珍しい単語を耳にした、それが『鬼』だった。
因みに言っておくと博麗神社にいる萃香は鬼と認識されているらしいが……恐れられていない。
否、本来それが一番望ましい。
しかし鬼か……


白雷「ですが、鬼は人間達によって数が減らされ、忘れ去られたと聞きましたが…」


住民B「ああ……ここも昔、宴会の時に毒を使って鬼達を殺してきたらしい……ひでぇ事しやがるぜ、全く」


白雷「しかし、何故人々は鬼を…」


神無月「自分達に危害が及ぶと判断すれば、手段を選ばない……そういうもんなんだよ、人間ってのは……ま、全員がそうって訳じゃない。特に、今この里にいる奴らはな」


住民A「ハハハ、俺達も最初は疑ったさ。鬼が土木工事だなんてな」


住民B「だが、萃香さんと話をしたり酒を飲んだりしていると、何だか楽しくてな、鬼が悪い奴には思えなくなった」


そう言って笑いあう住民二人。
その様子を見て俺と白雷も笑みがこぼれた。


神無月「話は戻りますが……依頼と受け取ってよろしいですね?」


住民A「流石は神無月さん、話が早い!」


神無月「よし、じゃあ早速…」


住民B「あ、待って下さい」


俺が店を出ようとすると、何故か住民に呼び止められた。
止められる要素があっただろうか…?


神無月「何です?」


住民B「その鬼は満月の夜だけに現れるらしいんですよ」


神無月「何故満月の夜だけに?」


住民A「詳しい事は分かりません、先ず本当に鬼なのかどうか自体怪しいですから……なんせ、二本の角が生えてるだけで判断したらしいですから」


満月の夜だけ……そんな鬼が存在するのか?
だが神出鬼没のアイツ(萃香)がいるし、そういうもんか…


神無月「わかりました。では、満月の夜にまたここへ来ます」


そう言って俺が店を出ようとすると、今度は白雷に呼び止められた。


白雷「神無月様、満月は今宵ですよ?」


神無月「…………」


忘れてた…
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