東方幻絵巻

□旅へ
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〜魔法の森〜


神無月「おーい、いるかー?」


森の中を大声で呼ぶ。
誰を呼んでいるかって?
当然、あの三人だ。


魅魔「何ですか?師匠」


幽香「あ、いらしてたんですね」


神綺「こんにちは、神無月先生」


目の前の空間が裂け、中から魅魔達三人が出てくる。
空間を裂いて出てくる事自体はさほど驚かないのだが……俺の声、どうやって魔界まで届いているのやら…


神無月「お前らに言っておきたい事があってな」


魅魔「……ここを離れるという話ですか?」


神無月「……知っていたのか」


この話をしたのは白雷だけだと思っていたのだが……どこかで聞かれてしまったのだろうか…?


魅魔「私達は師匠を止めはしないよ。それが師匠の選択だし……それに、二度と会えないって訳でもないしね」


神無月「…前向きだな」


ま、そこが魅魔らしいって言えばそうなのかもしれないな。


神無月「ほんじゃ、俺がいなくなっても大丈夫か」


魅魔「そ、それは困りますよ師匠!」


幽香「縁起の悪い事を言わないで下さい!」


神綺「でも先生らしいかも」


あ、そこ納得しちゃうんだ…


神無月「まあ八割の冗談はさておき…」


魅魔「二割は本気だったんですか!?」


神無月「落ち着け。お前らにこれをやる」


俺は袖から三つの黒い石を取り出し、三人に投げ渡す。


幽香「これは?」


神無月「『陰石』だ。まあお守りとして持っとけ」


神綺「魔力でもないし……霊力でもないし……不思議な感じの石ですね」


魅魔「どう使うんですか?」


幽香「お守りって言ってたでしょ」


魅魔「うーん……あれ、師匠?」


魅魔達が気がついた時には既に神無月の姿は無かった。


…………………………
……………………
………………


〜人里の外れ〜


白雷「よろしかったのですか?まだあの石の事を…」


神無月「大丈夫だ、陰石は持ってるだけでいいんだからな」


そうだ、持っているだけでアイツらの様子が分かる……何かあった時とかな…


神無月「さて、早速目的の場所に行こうと言いたい所だが……どうやら次の客らしい」


白雷「ゑ?」


ブォン ヒュウゥ…


目の前にスキマが開いて紫が出てき、空からは天魔が飛んできた。
流石に情報が早いな。


天魔「この土地を去るおつもりか?」


神無月「善であれ悪であれ、儀式を中断させたんだ。暫くはいられないな」


天魔「それは…」


天魔は暗い表情をし、俯いてしまった。
……お前にそんな顔は似合わないぞ……いや、美人にそんな表情をさせてしまった俺の罪か…


神無月「天魔、これ持っとけ」


俺は袖から陰石を取り出し、天魔に投げ渡す。


天魔「これは…?」


神無月「お守りだ。永遠に会えない訳じゃないんだ、次俺に会うまで持っとけよ」


天魔「あ、ああ……///」


……?
天魔の奴、なんで顔を赤くしてるんだ?
やっぱり熱でもあるんじゃないのか…?


神無月「天魔、熱d」


ビュン


白雷「きゃっ!」


神無月「うおっ!」


激しい風が吹いたと思ったら天魔はその場から姿を消していた。
うーん……やっぱり分からんな…


紫「……どのくらい掛かる見込みかしら?」


紫が俺によく意味が分からない質問をしてきた。
いや、よく意味が分からないのは白雷だけかもな…
チラッと白雷を見ると…


白雷「……???」


ですよねー
……だが流石は賢者、お見通しだったって訳か。


神無月「そうだな、なるべく早く終わらせたいが……長くて一年だろうな」


紫「一年か……少し掛かるわね」


神無月「ま、あっちに話が通じればいいんだがな……それまでの間、頼んだぞ」


紫「あら、私を誰だと思っているのよ?」


神無月「言っていいのか?」


紫「………ごめんなさい」


なんだよ、読まれてたか……読者の皆様にも言おうと思ってたんだが……残念だ。


紫「それじゃ……死なないでよ?」


神無月「当たり前だ」


俺がそう返事をすると紫はスキマを開き、中へと消えた。
去り際に口元が笑ってたような…


白雷「あのー…神無月様、話が見えないのですが…」


あ、忘れてた……白雷にまだ言ってなかったか。


神無月「とりあえず俺達が向かう場所を言っておく。これから俺達が向かう場所は……この土地の『神域』だ」
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