東方幻絵巻

□最初の弟子
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〜白玉楼〜


妖花「驚きました……と言うことは、弟子が五人いるのですね」


神無月「まあそうなるが……晴矯はもう俺から独立し、陰陽師の責務を全うしている筈だ。本来ならここにいる訳がないんだが…」


俺達は話しながら白玉楼へと戻っていた。
妖花にも全ては教えていない……というよりは教えられないのだ。
現に自分も晴矯の全ては知らない、晴矯自身も分かっていないのだから。
ただ一つ言える事は……『半人半妖』だという事だけだ。


妖花「着いたようですね……おや、客人でしょうか?」


白玉楼に到着する。
そして妖花は草履が一つ多い事に気付く。
……まさかとは思うが…


…………………………
……………………
………………


俺と妖花が幽々子の部屋へと向かっていると、広間の襖の前で侍女達が話をしていた。


侍女A「陰陽師なんて初めて見たわ…」


侍女B「神無月様に用があるって聞いたけど…」


侍女C「まさか……恋人?」


侍女D「嘘ぉ!?でも神無月様ったら何時の間に!?」


侍女達「「キャー!」」


神無月「…………」


侍女達が話している内容からして……絶対アイツだなこれ…
つーか恋人って……師弟関係だっての!


妖花「貴女達、何してるの?」


侍女A「あ、妖花様。安倍晴矯と言う陰陽師の方が神無月様にお会いしたいと…」


うっひょービンゴー……よくここが解ったな、アイツ…


神無月「私にですか……では」


妖花「神無月、大丈夫なのですか…?」


神無月「アイツは無闇に行動を起こすような奴じゃない。確かに結界術に関しては俺と同等、あるいはそれ以上かもしれないが……あくまで結界術だけだからな」


俺はそう言って襖を開き、広間へ入る。
中には陰陽師の姿をした女性が正座で座っていた。
青と翠のオッドアイ、少し長めの黒髪…そう、彼女こそが俺の最初の弟子、安倍晴矯だ。
因みに見た目は二十代だが……出会ったのは数百年前だ。


晴矯「久しいな。今は『神無月(ミナヅキ)』と名乗っているのだな」


神無月「これからもそのつもりだ。しかし、よく俺がここにいるって解ったな」


晴矯「お前の霊力の痕跡を辿った。そしたらここに着いたという訳だ」


痕跡はなるべく残さないようにした筈なんだが……流石は晴矯と言ったところか…
晴矯は昔から霊力などの痕跡を探すのが得意で、妖怪退治の依頼を受けていた時は、よく妖怪の小さな妖力の痕跡を辿って探していた。


神無月「だが急にどうした?」


晴矯「お前に用があるのと……この土地に興味があってな、色々と調べていた」


神無月「ほぉ……で、俺に何の用だ?」


なるべく面倒事は避けたいのだがな…


晴矯「『奴』に関しての報告だ……あれ以来、こちらに現れたら痕跡は無く、全く足取りが掴めない」


神無月「……そうか…」


俺は晴矯に『奴』の居場所を調べさせていたのだが……コイツ、それを知らせる為にここまで来たのか…?


晴矯「すまぬ……細かく探ったのだが…」


神無月「いや、気を落とす事はない。寧ろ、それを知らせる為にここまで来てくれた事に感謝する」


晴矯「なんの、お前から受けた恩に比べれば軽い事だ」


神無月「…参ったな」


俺は頭を掻きながら気恥ずかしそうに答える。
だが恥ずかしいのはそれだけではない。
……どうやら話を聞かれていたようだ……皆に…
しかも妖花だけではなく、ザン、影花、妖忌、更には幽々子まで……畜生、これ絶対誤解されてるな…
その後、晴矯は帰ると言って人里に向かった。どうやら家があるらしい。
そして俺は皆の誤解を解く為に数時間費やした。


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