Dream No.1

□knock knock
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連れ出してほしい。
「ほしかった」なんて、過去形じゃあない。
連れ出してほしい。
眠りから覚めて第一に目に写るのは空の体調。
青青しい、不安そう、怒っている、このどれかを最初に見る。
うんざりだ。気持ちはいつも同じ朝を感じているからである。
私にしてみれば、一年時が過ぎるのも年号が変わるのも、喜びの対象では無い。後に続くのは何も変わらない、日々が続くだけだと理解しているからだ。
Bach Menuet G-minorが頭の中で流れる。
私の今の気分がそれと同じだったのだろう。
昨日は何か心に残ることはありましたかと聞かれたのならば、猛風だったことだ。それは嫌いじゃあない。私の中で猛風は、「期待」だからだ。
何かが来るような、来てくれるという期待を、安心を持たせてくれる。そんなありがたい存在なのである。連れ出してくれるような気がするのだ。
あの人が、ここに、やって来るかのような幸せを錯覚をさせてくれるから嫌いじゃあない。
私は渇望している。だからいつもこんなに息苦しい。








でも、「あの人」なんて、いないの。
Chopin Etude op.10-6がラジオで流れた。


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