10/15の日記

22:04
PCI
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私は数年前、カテ室ナースをしておりました。
実は循環器や心臓などは嫌い…。心電図なんて読めないし薬もたくさんあって難しいし…。
なのに、なぜかカテは楽しくて専門でできる病院に転職したんです。
唐突ですが、今回はPCIについて振り返り勉強したいと思います。

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PCI…経皮的冠動脈形成術
動脈に針を刺し、そこから冠動脈までカテーテルを通し狭窄した血管を形成する手術です。
開腹術と違い、傷は針で刺した数ミリ。患者の負担が少ないのが利点です。
また、全身麻酔ではなく、針を刺す部分の局所麻酔で施行するので患者と会話し自覚症状を聞きながら手術を進めることができます。


PCIの前に。
さぁ、冠動脈に狭窄が見つかりました。手術の日も決めました。
その時に薬が処方されます。
そう、抗血小板薬!! しかも2剤!!

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DAPT…抗血小板薬二剤併用療法
カテーテルは人体から言えば異物です。
異物が血管内に入ると血小板凝集が起こり、血栓ができます。
血管内の狭窄を広げるための手術で血栓を作ってしまっては元も子もありません…。
そのために事前に薬で血をサラサラにしておきます。
抗血小板薬を2剤使うことで強力な効果が期待できます。
カテナースをしているとき、なぜか病棟看護師or外来看護師がDAPTを忘れてそのまま…なんてこともあり、時には延期になるというトラブルもありました。
必ず薬剤は確認して、処方がなければ医師に確認しに行くくらい、注意してください。

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因みに、緊急カテで抗血小板薬を内服してない場合はどうするのでしょうか。
それは、治療前に内服してもらいます。
大抵1剤は、バイアスピリンなると思います。
このバイアスピリン、水で飲み込むのではなく、ガリガリ噛み砕いて飲んでもらいます。
理由は簡単。このバイアスピリンは胃から吸収され効果がでるまで3時間ほどかかるのですが、噛み砕くことで吸収が早くなり効果が早くに出るのです。

さぁ、PCI当日です。
穿刺部位はどこにしましょうか。

*橈骨動脈(手首)
 1番負担が少なく術後も車いすで帰れたりする。血管が細く器具が限られる
*上腕動脈(肘)
 術後車いすで帰れたりする。橈骨動脈より太い器具が使える。
 私の経験ですが、術後どうしても肘を曲げてしまう人が多く出血や皮下出血が多いイメージ。
*大腿動脈(鼠経)
 1番太い器具が使用でき、アプローチや治療内容のバリエーションも豊富になるため選択されやすい。
 術後臥床安静となるため、膀胱留置カテーテルを挿入される場合が多い。

医師が指示を出していると思いますが、確認しておくと良いです。
腕(肘や手首)からのアプローチの場合、点滴が邪魔にならないように肘と手首を避けるか、逆の腕にルートキープするようにしてください(院内ルールとかあると思いますので確認してくださいね)
また、腕からのアプローチの場合、途中で鼠径部からに変更されることもあるので事前に病変を確認して鼠径部からとなる可能性を考慮して準備しておくと良いと思います。

シグマート…冠動脈を広げる薬
治療中持続で流すことがあります。
途中で冠注(冠動脈に直接流す)することもあります。
mgが違うバイアルがある場合、濃度に注意してミキシングしてください。
濃い濃度で冠注し、心停止した事例を聞いたことがあります。要注意です!!


穿刺してシースを入れて、カテーテルを色々頑張って病変部位を通過させます。
医師の腕の見せ所ですね。


さぁ、血管形成しましょう。
*POBA(バルーン拡張術)…風船を膨らませて狭窄部位を拡張する
*ステント留置…ステントを狭窄部位に留置することで拡張した状態で支持する
*ローターブレーター…固くなっている狭窄部分を削りとる(削りカスは赤血球より小さく、そのまま流れていく)

POBAなど、血管を広げているときは血流が遮断されますので、患者が痛みを訴えることがあります。
まぁ、心筋梗塞が起こっているのと同じですからね。そりゃ痛いですよね。
ソセゴンなど痛み止めを医師の指示で使用してください。

また、ローターブレーターは徐脈になることが多々あります。
アトロピンを握りしめて、いつでもすぐに投与できるよう準備をしておいてください。
RCAの根本(#1あたり)で施行するとき、洞結節の近くだからか徐脈になりやすかったなと思います。


治療が終わったら止血しましょう。
大腿動脈アプローチの場合、太いもので穿刺している関係で「止血デバイス」というのを使用することがあります。
アンギオシールやエクソシールという名称で、血管の穿刺部分を塞ぐイメージです。
自然に溶けてなくなります。

そして圧迫止血!!
皮下出血で吸収しきれないほど大きな血種ができてしまった場合、手術でとるしかなくなってしまうので穿刺部位だけでなくカテーテルが通ったであろう動脈をたどって異常がないか確認してください。
手首からアプローチして、上腕に血種が…なんてこともあります。


PCIが無事終わって退院です。
PCI施行した人は抗血小板薬とずっとお付き合いしないといけません。
理由は再狭窄の可能性があるから。
薬について、留置したステントでその後が変わってきます。
ステントの特徴とPCI後の抗血小板薬については、また機会があったら記事にしたいと思います。

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カテナースを辞めて1年-2年ほどたち、だんだん忘れて行ってしまうのが悲しいです。
カテは大変でしたがとても楽しかったので、また出来たらいいなと思います。
体力が持つかわかりませんが…。
方向性で迷っている看護師さん、カテはどうですか?

他にもこんなことが聞きたい。というのがあればメールやメッセージをお願いします。
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カテゴリ: 看護

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