苛めたい位君が好き

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「よし。流すぞ」

「は…はい」

「お前いつまで恥ずかしがってんだよ。いい加減慣れろ」

「そう言われましても…」

「言われましてもじゃねえ。昨日俺様の裸を満遍なく見た上、ここだってじっくりと見て味わってんだから今更照れる事なんざ何もねえだろが」

「なな…何て事をっ…」

「ハッ…本当の事じゃねえか」

「けっ…景吾君!」

「チッ…きゃんきゃんと良く吠える子犬だぜ」

跡部はシャワーをフックに掛け、名無しさんの体を支えてやりながら立たせたあとカランを回した。
上からお湯が降り注ぎ、名無しさんが目に入ってしまったお湯を手で拭おうとするのを遮るように跡部はその手を抑え付け、目元に唇を寄せた。

「景吾君?」

「残念だな」

「え」

「お前が怪我してなくてこんなに恥ずかしがんなきゃ気持ち良い事沢山してやるのによ」

「ま…またそういう事を…」

「ああ、違うな。俺様がお前と気持ち良い事してえと思っちまってんだ。ほら、確かめてみろよ」

「…っ…」

「な?どうしてくれんだよ名無しさん。お前が可愛過ぎんのがいけねえんだぜ」

「…わ、私のせいですか…?」

「そうだ。お前のせいだ。早く怪我直して俺様の事気持ち良くさせてくれよ。その代わりお前の事も俺様の美技に酔わせてやるからよ」

自分の耳元でそう甘く囁く跡部に名無しさんは頬を赤く染めてしまった。
何て声で自分に囁くのだろうか。
その端正な顔で、陶器のような肌を見せ付けられている上にそんなにも甘く囁かれては何も言えなくなってしまう。
もしかしたら跡部はそれを分かった上でわざとやっているのかもしれない。
名無しさんが何も言えなくなっていると、跡部は何もかもお見通しだと言わんばかりに鼻を鳴らしたあと、シャワーを止め、自分の手を引きながら浴室をあとにした。

「ほら、よく拭けよ」

「はい。ありがとうございます」

「着替えはそこにあるからな」

「すみません。…え、あの…し…下着も持って来たんですか…?」

「当然だろ。下着も濡れちまってるだろうと思って持ってきてやったんだからありがたく思え」

「あの…気持ちは嬉しいのですがこれはちょっと…」

「あーん?お前俺様のチョイスに文句付ける気かよ。そもそもそれを下着入れに入れておいたのはお前だろ」

「わ…分かりました。けど、私この下着は入れた覚えはないのですが…」

名無しさんが下着を手に取り首を傾げているのを跡部は口端を上げながら見据えていた。
名無しさんが見覚えがないのは当然だ。
自分もすっかりと忘れていたが、合宿の前の晩に名無しさんのバッグに下着を入れたのは自分なのだから。
その下着は自分好みだし、名無しさんが身に着けたらさぞ似合うだろうと思い購入したが、想像通りだったようだ。
上は少しだけ透けている黒で、下はちょっとでも引っ張っただけでほどけてしまうのではないかという何とも魅惑的な下着は名無しさんによく似合っている。
しかし、これを着させたはいいが今日に関しては何も出来ないのでその下着を持ってきた自分を殴ってやりたい位だ。
跡部は再び鼻を抑え、下半身に熱が集中していくのを感じながらせめて名無しさんの着替えが終わるまでは、その姿をこの目にしっかりと焼き付けておこうと考えていた。




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END


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