お姫様と殺し屋

□episode5
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パプワ達は今日はどうやら海に来ているようで、砂浜ではしゃいでいた。
名無しさんも楽しそうに笑いながらパプワとチャッピーと遊んでおり、それを砂浜で寝転がり見ていたシンタローは口元に笑みを浮かべていた。
ああしていると、どこにでもいる普通の17才の少女だ。
いつもどこか大人びた態度や言動に、実は年齢詐称しているのではと思ったりもしていたがどうやらそれは勘違いだったようだ。
それにしても砂浜でスカートをなびかせ、鈴を転がすように笑う名無しさんのなんと可愛い事か。
頬を熱くさせながらシンタローは、名無しさんから海へ視線を向けた。

「それにしても…あっちの方にパプワが生まれた島があったんだよな…ん?ありゃ一体なんだ!?」

「どうしたのシンタローさん!?」

「何か来る!何か来るぞ!!」

シンタローのその言葉に名無しさんも海に視線を向けると、確かに海の向こうから何かが物凄い勢いでこちらに向かってきていた。
息を飲む名無しさんを守るようにシンタローがさりげなく背中で隠し、そんなシンタローを名無しさんは頬を赤く染め上げながら見据えていた。
まただ。
最近こうしてシンタローに対して鼓動を高鳴らせてしまう事が度々ある。
それに特に意識はした事がなかったが、シンタローはこんなにも格好良かっただろうか。
名無しさんがそんな事を考えていると、砂浜に豚に乗った少年が上陸し、高笑いを上げた。

「ガハハハ!久々に登場!ガンマ団第3の刺客、博多どん太君!!」

「分かったから帰れ」

「そいがこんだけ文章を書いてまで登場したもんに対する言葉ね。とっ…とにかく、こんおいが来たかんにはシンタロー!きさんの命もこいまでじゃっ」

「はぁ〜い!はぁ〜い!はいはい!!分かったからガキはガキらしく…ガキ同士で遊びな!!」

「失礼な!僕をこんなフンドシ小僧と一緒に…すな!!」

「すっ…凄いパプワ君」

「ふっ…マレー半島発祥の球技セパタクローをかますとはやるなパプワ」

どん太を交互に蹴り上げ、ゴールの代わりと言わんばかりにそこにあった大きな石にどん太を蹴り付けたパプワに名無しさんとシンタローは感心してしまっていた。
しかし、どん太は涙を浮かべながらパプワを睨み付け、倒れてしまっていた体を起こし怒りで体を震わせた。

「う…う゛う゛う゛…!よおもこん博多どん太ば怒らせたな〜!!くらっしゃり〜!九州男児雷電攻撃!!」

「か…体がびりびりする…」

「なななぁぁぁ〜!!」

「ガハハ!ざまあみんかい!一気にとどめさしたっけんな!」

「なんの!パプワ島名物電気大ウナギ!」

「私のボルトはさんびゃくまーーん!!」

「で!!」

「助かったよ!電気大ウナギのナカイ君!」

「はっはっは!なんのなんの!ちなみに普通の電気ウナギは300ボルトだよ!」

「う…う゛う゛う゛…一度ならず二度までもコケにすっとは…ちきしょうっっ!きさんら許さんけんな〜!!」

「誰に向かって口を利いている」

「あ゛〜っ!ぬるぬる!!」

「ナカイ君、ぎゅっと締めちゃいなさい!」

「あ゛〜!!」

ナカイに締め付けられ絶叫するどん太をシンタローと名無しさんは、敵だがあの攻撃は哀れだと思いながらその様子を見ていた。
だが、ナカイの体の中から少しだけ身を這い出させたどん太が思い切り指笛を吹いたその直後、先程の豚が勢い良く走ってきたと同時にナカイの体に体当たりをかました。
そのお陰で、どん太は漸くぬるぬる地獄から抜け出せ、再び涙を浮かべながら自分達の事を鋭い視線で睨み付けてきた。





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