お姫様と殺し屋

□episode3
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「え、本当に?」

「ああ、たまには散歩もいいと思ってな。それに僕の友達を名無しさんに紹介したい」

「ありがとう!パプワ君」

朝食を済ませ、お茶を飲みながらパプワに島を案内してやると言われた名無しさんは満面な笑みを浮かべながらパプワを抱き締めた。
そういえば島に来て早々色々な事があり、ゆっくりこの島を見て回る事など出来なかった。
パプワの友達とは一体どんな友達なのだろうか。
名無しさんが目を輝かせていると、シンタローが自分の肩に手を置いたので思わず首を傾げてしまった。

「どうしたの?」

「名無しさんちゃん。この島を普通と思っちゃいけねえぜ」

「え」

「いいか、この島にはな…」

「シンタローすわぁん!グッモーニン!」

「なっ…なに?なんなの?」

「今日も格好良いわよシンタローさん。それにこのお御髪もいつも綺麗です・て・き」

「触んなこの雌雄同体がっ!」

「ああ〜ん!」

シンタローに蹴りを入れられてしまったカタツムリのイトウは壁にめり込んでしまった。
それでもうっとりとした表情を浮かべるイトウにシンタローは舌打ちを吐いたあと、呆然とする名無しさんに視線を戻した。

「いいか名無しさんちゃん。この島にはこういったナマモノが沢山いる。しかも喋りやがるから気持ちわりい事この上ねえときた」

「へ…へえ」

「だから、それを踏まえた上で島を歩かねえとビビり過ぎて心臓止まっちまうかもしれねえから覚悟して散歩に行くんだぜ。いいな」

「し…シンタローさん。顔が怖いよ」

「ちょっとあんた!」

「は…はい!」

「あんたさっきから私のシンタローさんに対して馴れ馴れしいのよっ」

「ごご…ごめんなさい。あの、まさかシンタローさんがあなたの恋人とは知らず私ったら…」

「あら、あんた中々物分かりがいいじゃない」

「違う!こんなナマモノが恋人な訳あるか!!てめえも誤解されるような言い方してんじゃねえぞこらっ」

「あ、やだ。そんなに素敵な目で見つめられたら私…私…更にシンタローさんの事好きになっちゃう」

「見つめてねえ、睨んでんだよ。てめえの思考どうなってんだ。大体俺はな、てめえみてえなナマモノなんかじゃなくて名無しさんちゃんに…」

「え?」

「うっ…い…いや。何でもねえ」

危なかった。
もう少しでイトウに乗せられどうせなら名無しさんに好かれたいと言おうとしてしまった。
それにしても油断していた。
ここ何日か、このナマモノがここへ姿を現さなかったから、名無しさんに何も言ってはいなかった。
まさかとは思うが、本気で恋人と思われていたら堪ったものではない。
シンタローが珍しそうにイトウを見据える名無しさんに視線を向けながら溜め息を吐き出したと同時に、家の中に手裏剣が放たれてきたので思わず目を見張ってしまった。






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