お姫様と殺し屋

□episode2
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「…んっ…ふぁ…」

名無しさんは射し込む太陽の光の眩しさにうっすらと目を開いた。
目を擦ったあと、眠気眼で布団を見下ろすとパプワとチャッピー、そしてシンタローが寝息を立てながら寝ていたので名無しさんは布団から立ち上がり、静かにドアに向かって歩き出した。
流石にもう洗濯物は乾いているだろう。
シンタローに取り込まれる前に自分で取り込んでしまおうと思った名無しさんは干し場に向かい、すっかりと乾いた洗濯物をたたみながら籠に入れていった。
それにしてもこのパプワ島の朝は何と気持ち良いのだろう。
そうだ、皆まだ寝ているようだし風呂を沸かして朝風呂もいいかもしれない。
着替えだってしたいし、シンタローに借りたこのシャツも洗って返さなければならない。
そうと決まったら早速行動だと思い、名無しさんは風呂を沸かしに向かった。

「ふぁぁっ…何かあんま眠った気がしねえ」

昨夜は名無しさんの寝顔と寝言が気になり過ぎて眠るまでにかなり時間が掛かってしまった。
寝る前に名無しさんはシンタローの隣だと言われなくて本当に良かったと心からそう思う。
もしもそうだったら、きっと自分は全く眠れなかっただろう。
人の気も知らず呑気に寝ているパプワやチャッピーや名無しさんは…
いない?
一体何処に行ったというのか。
心配になったシンタローは一人と一匹を起こさないように静かにパプワハウスを出ていった。

「っかしいな。干し場にも居ねえし付近にも居ねえ。何処行っちまったんだ?」

先程から名無しさんを探しているが一向に見付からずシンタローは少し焦っていた。
まさか誰かに拐われたのか?
いやいや、パプワ島にそんな事をする奴はまずいないしありえない。
シンタローが顎に手を添え考えていると、風呂から水音が聞こえてきたのでまさかなと思いながら少しだけカーテンを広げた。
見てはいけない。
そうは思っていても目が離せなかった。
大きな貝殻の風呂の中央に立ち、目を閉じ髪の毛を洗い流す名無しさんが何と美しい事か。
ふくよかな胸に細くくびれた腰、そして程よい大きさのヒップ。
とても17才の身体とは思えない程名無しさんの裸は魅惑的だ。
シンタローはこれ以上見ていては誘惑に負けてしまいそうだと思い、カーテンを閉じ高鳴る鼓動を抑えようと胸に手をあてた。

「やべえ。俺はブラコンであってもロリコンではない筈なのにもしかして名無しさんの事気になってんのか?」

誰に話し掛けている訳でも返事が返って来る訳でもないのに、とにかく気を紛らわせようとシンタローはあえてそう呟いた。
まずい。
これは非常にまずい。
こんな気持ちを抱いてしまったと気付いてしまったからには、同じ布団で毎晩寝るのは自分にとって物凄い拷問ではないか。
シンタローがそんな事を思っていると、賑やかな声が段々と近付いてきたので何事かと思い眉間に皺を寄らせながら目を細めた。





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