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□春雷
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「私たちのギルドになにすんのよ
っ!!」

レイナが着いたとき、ギルドは変わり果てた姿になっていた。崩れないでいるのが不思議な状態だ。最初から一緒に戦うことができなかったことに歯噛みする。

「御伽魔法!マッチうりの少女!燃えろ!!」

辺り一帯を炎で燃やす。ナツの炎の威力には及ばないが、これでもS級魔道士の端くれ。ギルドを傷つけていた敵を殲滅する。

「レイナ!!」
「ごめんね、遅くなって」

幽兵は倒しても湧き出るようにして向かってくる。レイナがしたこともその場しのぎにしかならないが、それでも確実に士気は高まった。魔法を使って幽兵たちを次々に倒していく仲間を見て安心する。

「御伽魔法 ジャックと豆の木」

崩れかけのギルドを豆の木で支えながらレイナも幽兵たちと応戦した。



ギルドを守りながら戦っていると、ふいにあたたかい光があたりを包んだ。幽兵たちだけが消えていく。

「妖精の法律…?」
「何だい?そりゃあ。」

レイナの呟きにカナが反応する。妖精の法律は術者が敵と認識したものだけを討つ魔法。そして多分マスターが発動させたものだと伝える。

「つまり…?」
「ええ。妖精の尻尾の勝利よ!」

レイナの言葉を固唾を呑んで聞いていたギルドのメンバーが歓声をあげる。武器を放り投げ、拳をあげ、抱き合って喜んだ。幽鬼の支配者のギルドで戦っていたエルザ達も無事帰ってきてみんなで彼らを称えた。



日が暮れていく。マスターやナツも帰ってきてみんながギルドの前に集まった。

「こりゃあまた…ハデにやられたのう…」

マスターの言うようにギルドはほとんど崩れかけの状態だった。
暗い顔をしたルーシィが恐る恐るといった風に1歩踏み出す。

「あ…あの…マスター…」
「んー?おまえもずいぶん大変な目にあったのう」

マスターの言葉に顔を俯かせたルーシィに病院にいたハズのレビィが声をかける。

「そんな顔しないのルーちゃん」

驚いて振り返るルーシィのさきには、レビィだけでなくジェット、ドロイそしてリーダスがいた。シャドウギアの3人が口々に励ましの言葉を口にし、リーダスはルーシィを守りきれなかった謝罪をする。肩を震わせ涙を堪えるルーシィにマスターが声をかける。

「楽しい事も悲しい事も全てとまではいかないがある程度は共有できる、それがギルドじゃ。一人の幸せはみんなの幸せ。一人の怒りはみんなの怒り。そして一人の涙はみんなの涙。自責の念にかられる必要はない。君にはみんなの心が届いているハズじゃ。」

その言葉にギルドのみんながうなずき、賛同を示す。

「顔をあげなさい。君は妖精の尻尾の一員なんだから」

その言葉にルーシィの堪えていた涙がこぼれる。ついには子どものように声をあげ泣きだしたルーシィにみんなが笑顔になった。
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