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□春雷
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あのあと結局意識が飛ぶまで抱き潰されて、起きた時には次の日の昼過ぎだった。ソファで寝たというのもあって腰が痛くて動けない。体は綺麗にされていて、上にはラクサスの服が着せられていた。
レイナが起きたことに気づいたラクサスが水をくれる。お礼を言って受け取ると、あぁとだけ言って彼は階段の横の机に戻ってしまった。事が済んだなら放っておけばいいのに。なんで、面倒見てくれるんだろう。昔のような優しさに胸が締め付けられる。彼は2つ下のレイナの面倒をよく焼いてくれた。
コップの水をぼーっと眺めていたらミラが階段をあがってきた。気まずくて、ソファに寝転びなおし身を小さくしていたら

「たいへーーん!!!!」

悲鳴をあげながらミラが階段を足早に降りていく。なんと2階の依頼書がなくなっていたらしいのだ。ギルド内がざわつく。

「オウ…それなら昨日の夜どろぼう猫がちぎっていったのを見たぞ。羽のはえた…な」

ラクサスが発した言葉にギルドが1度静まりそして先ほどよりも更にざわめきが大きくなる。
ミラやマスターがラクサスを責めるが彼は聞く気もないらしい。
レイナが起きた時に感じた優しさはやはり気の所為だったのだろうか。彼のあまりの物言いに呆然とする。
ラクサスがナツ達を連れ戻す気がないと分かるとグレイが飛び出して行った。
ハッとしてレイナも追いかけようと立ち上がった。が、腰が抜ける。ラクサスは呆れたようにレイナを見て笑い、ヘッドフォンをつけ直した。
なんとか起き上がって、グレイの後を追おうと思い下に降りると、ミラがエルザに連絡が着いたから安心するようにと言われた。けど、エルザにお仕置きされる彼らを思うと次は別の心配が湧いてくるのであった。
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